2018年(平成30年)7月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1142 二面
八尾徳洲会総合病院
結核を早期発見へ
新機器導入で検査頻度増
八尾徳洲会総合病院(大阪府)は結核患者さんの早期発見に向けた取り組みに積極的だ。従来は抗酸菌遺伝子検査を週2回実施していたが、新機器の導入で検査を週6日実施するように改善。結果、結核患者さんの早期発見につながり、院内感染は0件に減少、在院日数の短縮にも寄与している。
新機器を紹介する前野主任(左)と臨床検査科スタッフ
八尾病院ではこれまでPCR法(遺伝子増幅法)を用い抗酸菌遺伝子検査を週2回実施、新規結核患者さんを毎年20人ほど発見していた。結核菌は空気感染するため、長期入院患者さんの結核の発見が遅れると、それだけ院内感染のリスクが高まるという問題があった。同院では2014年度と15年度で潜在性結核感染(感染しても発病していない状態)の看護師が計8人出ていた。
こうした状況に対し、結核感染対策の積極的な啓発活動をしていた同院のICT(感染対策チーム)から、検査結果をもっと早く出してほしいと要望が出た。しかし、前野舞・臨床検査科主任は「コスト面とマンパワーの問題から、すぐには要望に応えられませんでした」と当時を振り返る。
早期発見のため16年に院内の感染対策マニュアルを改定。入院時に肺炎(疑いを含む)と診断された患者さんは喀痰(かくたん)の抗酸菌遺伝子検査を必須化、同時に医師のオーダー漏れを防ぐため、ICTのメンバーが電子カルテをチェックし検査代行入力を行った。これにより検体数が増え、PCR法による抗酸菌遺伝子検査の頻度は週3回にアップ。この時期から現在まで、院内の潜在性結核感染は0件となっている。
さらなる効率化を目指し昨年5月、TRC法(核酸増幅検査法)を用いる抗酸菌遺伝子検査の新機器を2台導入。同機器は一度に測定する数が7検体で、検査の回転率が高くなるという利点がある。さらに、前処理にかかる手間と時間が大幅に減り、測定に要する時間もPCR法では約3時間かかったが、TRC法では約40分に短縮した。
前野主任は「測定により一度に得られる情報はPCR法のほうが多いのですが、結核菌の検査結果を急いで出すという目的ではTRC法が合致しています」とメリットを説明。導入にあたっては、すでに使用していた湘南鎌倉総合病院(神奈川県)と情報交換も行った。
新機器導入により検査の頻度は週6日までアップ。入院日から結核判明までの日数が短くなり、さらに結核患者さんの平均在院日数が約10日から、約3日に短縮した。ランニングコストの削減にもつながった。
結核菌の検査には遺伝子検査のほか、顕微鏡下で結核菌を探す塗抹検査、培地で菌を発育させ結核菌の有無を確認する培養検査がある。前野主任は「結核菌が陽性となった患者さんの画像診断を見返しても、まったく所見に示されない例もあり、塗抹検査や培養検査でも改善できるところは積極的に改善にチャレンジし、より迅速かつ正確な診断を目指します」と意欲的。