徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)7月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1142 一面

八尾徳洲会総合病院
内視鏡ホルダロボを導入
全国9番目 徳洲会で初めて

八尾徳洲会総合病院(大阪府)は内視鏡用ホルダEMARO(Endoscope MAnipulator RObot)を導入した。同機はジャイロセンサーを頭部に装着した術者が、頭を上下・左右に傾けると、その動きを感知して内視鏡を操作する手術支援ロボット。通常はスコピスト(内視鏡を操作する医師)が担当する役割を同機がサポートする。術者は意図する内視鏡アングルを直感的な操作で得ることが可能になり、内視鏡を保持するホルダがぶれないため安定感のある映像を見ながら手術を進めることができる。全国で9番目、徳洲会では初の導入。

手ぶれなく安定した視野確保

EMARO導入に尽力した手術室看護部の八鍬主任 EMARO導入に尽力した手術室看護部の八鍬主任

近年、傷口が小さく術後の回復が早い低侵襲の内視鏡手術が普及している。同手術にはメインの術者に加え、スコピストと呼ばれる医師のサポートが必要。スコピストは術者の指示に従い内視鏡を操作し、術者が意図する映像をモニターに映し出す役割を担う。

スコピストは手術内容を十分に理解し、術者と円滑にコミュニケーションを取ることが求められる。意思疎通がうまくいかないと、術者は自分の思ったとおりの映像が得られずストレスを感じることがある。また、手術時間が長引くと疲れから手ぶれが生じてしまい、視野が揺れると患部や鉗子(かんし)の動きを注視するための労力が大きくなる。

そこで八尾病院では円滑な内視鏡手術を施行するため、内視鏡用ホルダEMAROを5月末に導入した。同機は内視鏡を保持する1本のアーム(ホルダ)を備えた本体に加え、操作をするためのジャイロセンサーとフットスイッチからなる。術者は頭部にジャイロセンサーを装着し、足元のフットスイッチと組み合わせてホルダを操作する(本体モニターから手動操作も可能)。

術者がフットスイッチを押してから頭を上下・左右に傾けると、その動きを感知して内視鏡を保持したホルダが連動して動く。この動きの追従性の高さにより、術者はストレスなく操作できる。頭部のジャイロセンサーとホルダの動作スピードの比率を変更することで、術者が最もコントロールしやすいよう調整することも可能だ。前後の動き(内視鏡の出し入れ)と右回旋・左回旋の操作はフットスイッチで行う。

頭部に装着したジャイロセンサーが術者の頭の動きを感知しホルダを動かす 頭部に装着したジャイロセンサーが術者の頭の動きを感知しホルダを動かす

ホルダは空気圧で駆動。柔らかく滑らかな動作を実現し、もし内視鏡が大きく動きすぎたとしても臓器に負荷がかかりにくい。ホルダに外部から力が加わった場合も、駆動用空気が衝撃を吸収する。また、ホルダがどのように動作しても、内視鏡の体内への挿入点はつねに不動。さらに、ホルダが内視鏡をしっかり保持するため、どんなに長時間の手術でもホルダの停止中は内視鏡の映像がぶれることはない。

同機は2015年夏に上市、同院は同年秋からトライアル運用をスタート。導入にあたっては手術室のマネジメントを担当する八鍬貴則・手術室看護部主任が尽力した。八鍬主任は内視鏡手術にかかわる各診療科の医師の要望を集約し、販売元のホギメディカルに伝えるなど積極的に意見交換を実施。初期モデルから同院が導入するまでの間に、本体アームがスムーズに動くようになり、手術前のホルダセッティングがしやすくなるなど改善点が実装された。

導入前には同機以外にも複数の機械を試用。術者の声に反応しホルダが動くタイプや、手元のスティックでホルダを操作するタイプ、さらにはホルダが電動モーターで駆動する機械もテスト。八鍬主任は「各診療科の医師に試してもらいましたが、EMAROが操作性も良く動きがなめらかであると高評価でした」と振り返る。

人手不足解消の一助に

フットスイッチで内視鏡の前後の動きなどを操作 フットスイッチで内視鏡の前後の動きなどを操作

EMAROを主に使用しているのは外科(消化器外科)と呼吸器外科。とくに腹腔(ふくくう)鏡下鼠径(そけい)ヘルニア修復術(TAPP)には有用と、村上修・外科部長は評価している。八鍬主任は「同機は内視鏡を大きく動かさず、細かい操作が必要な手術に適しています。将来的には泌尿器科の骨盤内手術などでも運用できたら良いと思いますので、各診療科の医師と調整しているところです」と展望を話す。

運用に際してはリスクマネジメントにも注力。もし内視鏡手術の途中で合併症を起こし、開腹手術に切り替えることになった場合、医師が少ないと対応できないこともある。八鍬主任は「同機を完全に医師の代わりとするのはリスクがあります。何か不測の事態が起きた場合には、すぐに対応できるバックアップ体制を取ったうえで運用しています。安全性に最大限配慮したうえで上手に使えば、人材不足の解消にもつながると思います」と強調する。

同院は徳洲会グループ病院から感想・意見を求められることもあると考え、運用方法や医師の感想などをまとめている。「離島・へき地病院の医師不足解消の一助になればと思います。TAPPのように同機と相性の良い手術もありますので、当院が経験した症例を生かし、グループに還元できれば良いと考えています」と八鍬主任は意気込みを見せる。

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