徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

田中 江里(たなかえり)(葉山ハートセンター院長(神奈川県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

田中 江里(たなかえり)

葉山ハートセンター院長(神奈川県)

2018年(平成30年)7月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1141

自院完結型から地域完結型へ移行
治すだけでなく支える医療提供も
地域の医療ニーズから病院のあり方を考える

母が障がい者施設で働いていたこともあり、小学生の頃から人を助ける仕事がしたいと思い医師を志しました。とくに電車や飛行機の中で困った人がいても、逃げることなく対応できる臨床医になりたいと思っていました。浜松医科大学の6年時、病院説明会で初めて徳洲会の先生に会いました。湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の相澤信行先生(現・静岡徳洲会病院総長)に、各科をローテーションする研修が少なかった時代、それができると言われ、一本釣りされたように思います。その後、専門を血液内科に決めたのは、学生の頃から血液のスライドを見るのが好きだったからです。患者さんをより全人的にみる分野というのも魅力でした。

徳洲会では、さまざまな先生に育てていただきました。最初に教わったのは一般社団法人徳洲会副理事長の福島安義先生。当時、茅ヶ崎徳洲会総合病院(現・湘南藤沢徳洲会病院)の院長で、2カ月間の産婦人科研修で指導していただきました。産後の出血が止まらず大あわてした時があり、先生から「想定外の出来事に遭遇しても自分だけでできると思うな。人を呼ぶのに躊躇(ちゅうちょ)してはいけない。驕(おご)ってはいけない」と教わりました。

社会福祉法人湘南愛心会理事長の塩野正喜(まさき)先生には湘南鎌倉病院で女性副院長として抜擢(ばってき)していただきました。一般社団法人徳洲会理事長の鈴木隆夫先生には、重要な局面で長が取るべき姿勢を教わりました。2011年に東日本大震災が発生し視察された後、鈴木理事長は湘南鎌倉病院の講堂に医師を集め、こう言われました。「徳洲会はこのような未曾有の事態に対し、被災地に人を送ってサポートする。被災地に行く人も、そしてここに残る人も、皆で協力してほしい」。組織の首脳として、いち早く声明を出すことの重要性を教えられた瞬間でした。

当院が担う役割を拡大し 医療インフラを有効活用

昨年6月、私は葉山ハートセンターの院長に着任しました。当院の造りは美しく、部屋からは相模(さがみ)湾が一望でき、富士山も拝めます。2000年に心臓病治療に特化した病院として開院して以来、当院はこれまで数々の心臓手術、カテーテル治療、不整脈治療を手がけてきました。

しかし医療の進歩、また疾病構造、人口構成の変化から当院も変革することが求められています。日本は世界が経験したことのない超高齢社会に突入しました。それぞれの病院がやりたい医療だけを行うのではなく、地域でどんな役割を果たすのか、それを明確に打ち出し無駄を省いていかなくてはなりません。

逗子(ずし)市や葉山町には急性期の入院施設が少なく、これまでは周辺の病院にお願いしてきました。この役割を当院が担うことで、限られた医療インフラを有効活用。昨年から地域の救急医療に力を入れ、これまでの循環器系の入院に加え、一般内科系の入院も受け入れるようにしました。入院患者さんの退院先を調整するためのカンファレンス(検討会)を毎週、地域の介護職や時には行政など外部の方も交え、多職種で開いています。

また訪問診療を利用されている患者さんの後方支援(具合が悪い時に入院できるようにすること)の役割も担うと宣言しました。葉山地域には高齢者施設が多く、入居者さんの急変時に積極的に対応しています。

医療は自院完結型から地域完結型への移行が始まっています。治す医療だけでなく、生かし、支える医療も求められるようになってきているのです。私は院長になり、初めて地域医療というものを真剣に考えるようになりました。葉山はコンパクトな町だからこそ地域のネットワークをつくりやすい環境だと思っています。ただ、この変革に対して職員の負担は予想以上のものであると思います。

医師や看護師が不足する時代 地域の連携がますます重要に

医師や看護師らの働き方改革は、待ったなしで進めていかなければなりません。医師や看護師をはじめスタッフが不足する時代が、すぐそこまで来ています。人がいなければサービスを縮小しなければならず、一部の業界ではそれが起こっています。

このことから当院は大病院のように、あらゆる診療科をそろえることはしません。地域で医療機能を分化させ、社会資源を互いに生かしながら「win-win」の関係を築きます。つまり、地域での医療・介護連携を一層強化するつもりです。

皆で頑張りましょう。

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