徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)7月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1141 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演” ⑯
介護施設の基本~老健編

今回は介護老人保健施設(老健)について説明します。介護保険3施設のひとつではありますが、「特別養護老人ホーム(特養)との違いがわからない」との声が少なくありません。入居サービスを中心に、老健あいの郷(埼玉県)の長島大介・支援相談員主任が老健の基本を解説します。

長島大介・老健あいの郷 支援相談員主任 長島大介・老健あいの郷 支援相談員主任

老健はもともと1980年代に誕生した高齢者向けの福祉施設です。当時、すでに特養などの福祉施設はあったものの十分ではなく、社会的入院(本来は在宅などでの治療・療養が可能な不必要な入院)の増加などで社会保障制度の維持を懸念する声が高まり、福祉施設と医療機関それぞれの長所を生かした“在宅復帰を主眼とする中間施設”の必要性が指摘されるようになりました。

国が検討を進め88年に老人保健施設が生まれました。2000年に介護保険制度がスタートすると、介護老人保健施設として特養や介護療養型医療施設(介護医療院)と同様、介護保険入所サービスのひとつとなり、現在に至ります。根拠法は創設当初の老人保健法から介護保険法に変わりました。厚生労働省によると現在、全国に約4200の老健が整備されています。

最大の特徴は、特養よりも医療的ケアが充実しているという点です。たとえば人員配置を挙げると、老健は管理責任者が医師でなければならず常駐しているのに対し、特養は医師の配置が求められていません。看護師も特養より手厚い配置が定められています。

在宅復帰に向けリハビリに励む 在宅復帰に向けリハビリに励む

さらに、リハビリセラピストを配置しなければなりません。介護職中心の特養とは異なり、多職種協働で入居者さんにかかわります。

これは老健が在宅支援の拠点としての機能を有しているからです。特養が終の住処として“生活の場”であるのに対し、老健は“生活の場に復帰できるようにする”ための施設。自宅や特養などに帰ることを前提としています。

そのため医療的ケアのなかでも機能回復訓練(リハビリ)が重要(週2~3回程度)となります。立位や歩行など心身の機能回復だけではなく、たとえ歩けなくてもトイレでの動作ができたり、自分で食事ができたりするなど生活に密着した訓練を行います。最近は入居者さんが服用している薬を整理する役割も求められています。

入居の対象は要介護1~5の方で、入居期間は3カ月程度。集中的にリハビリを行います。ただし、入居期間は一律ではなく、入居者さんやご家族の状況などで変わります。もちろん、一方的に退居を迫られることはありません。

費用は介護保険の1割負担分(所得によって異なる)に居住費、食費、日用品費などが加わります。これらは地域や施設によって異なりますが、当施設では食費(1日3食とおやつ)1440円を含め、要介護3の方で1カ月11万円(多床室)程度、個室では18万円程度となります。

利用するうえでポイントとなるのは、地域の介護支援専門員(ケアマネジャー)と良好な関係を築いておくことです。さまざまな情報も集められますし、入退居がスムーズにできます。また、重度化する前に利用されることをお勧めします。

要介護度が高くなり、ご家族が肉体的・精神的に限界を迎えてから入居を相談されるケースがありますが、そうなってからでは機能回復は難しく、介護に対するご家族の不安も大きくなりがちです。老健は繰り返し利用が可能な施設ですので、上手に活用していただくとご家族の負担も軽減し、結果的に在宅生活が継続できるように思います。

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