徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)11月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1110 三面

湘南鎌倉総合病院
離床の早期化に寄与
ECU ICU
理学療法士を専従化

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)はECU(救急治療室)とICU(集中治療室)への理学療法士(PT)の配置を専従化し、集中治療領域のリハビリテーション強化に取り組んでいる。医師や看護師との連携強化につながり、介入や離床の早期化を促進するなど実績を挙げている。

小室医長(右)と南條PT。患者さんの早期離床のためリハビリ実施に注力 小室医長(右)と南條PT。患者さんの早期離床のためリハビリ実施に注力

「今日の目標は座る姿勢をとることですよ」。同院リハビリテーション科の南條恵悟PTは、ベッドに横になる男性患者さんに優しく話しかけた。

ここは同院5階のECU。患者さんは2日前の夕方、尿路感染症に起因する敗血症性ショックで救急搬送されてきた。またCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に気胸を合併していたことから、入院後、人工呼吸器を装着。その後、状態が改善したため、入院3日目のこの日の朝、抜管し人工呼吸器から離脱。同器を外したばかりだが、その日の午後、ECUのベッド上で早速リハビリを開始した。

「集中治療領域での早期かつ積極的なリハビリは、エビデンス(科学的根拠)をもとに強く推奨されています」と南條PT。リハビリを行わない期間が長引けば長引くほど、身体機能の低下や治癒の遅れを招いてしまうためだ。

同院は2016年7月にECUとICUでPT専従化を本格的に開始。ECUは10床、ICUは8床で、それぞれ同院5階にあり、隣接している。南條PTが専従PTとして活動。ECUはER(救急外来)で初療後に集中治療を要する患者さんが入院。ICUは予定された大手術の術後管理と院内急変に対応している。

同院の脳卒中センターなど他の多くの病棟では、以前からPTを専従化してきた。また、EUCとICUでも外科系の一部の患者さんに対しては、リハビリのプロトコール(診療計画)を運用しており、リハビリ介入は標準化されている。こうしたなかECU、ICUの内科系の患者さんに関してはプロトコールがなく、患者さんごとのリハビリの進行度合いは担当者によって差が生じていた。

加えて、同院の内科系の病棟は11~15階にあり、ECU、ICUがある5階とは距離があることも、検査や治療が多いECU・ICUの内科系患者さんへの効率的なタイミングでのリハビリ介入を難しくしていた。

専従化後は、外科系、内科系を問わず、担当の専従PTが医師の指示に基づき早期リハビリの提供に努めている。

これにより内科系の患者さんの入院経過にどのような影響があったのか―。南條PTは専従化の前後各9カ月間の内科系入室患者さんの経過を比較。その結果、入室からPT介入、端坐位(ベッドの端に足を下した状態で座った姿勢)、立位、歩行の開始までに要した日数はいずれも短縮したことがわかった。「歩行」以外の項目は統計学的な有意差も認めた。入室後に歩行自立度が低下した患者さんの割合も減った。

「以前よりも1.5~2日は早くリハビリ介入できるようになり、入院中にリハビリを行う患者さんの割合も増えました。専従化により、介入や離床の早期化につながりました。ECU、ICUでのPT滞在時間が増えたことで、医師や看護師との情報共有がより濃密になり、効果的な介入につながったと考えています」(南條PT)

同院集中治療部の小室哲也医長は「PT専従化以降のほうが、重症度の高い患者さんでも離床が早いと感じます。また、時系列に患者さんの運動機能など状態変化をフィードバックしてもらえるので、治療方針を考える際にも参考になっています。加えて、術後にどれくらい患者さんの体を動かせばよいのかなど、初期研修医や多職種に対する教育効果が高いこともメリットです」と評価。

「専従化により、リハビリ介入や離床の早期化につながりました」と南條PT 「専従化により、リハビリ介入や離床の早期化につながりました」と南條PT

冒頭で紹介したリハビリ場面に戻ろう。南條PTはベッドに横になる患者さんの足の状態を確認。「右足を上げることはできますか」。呼びかけると患者さんは「これくらいなら」と少し動かしてみせた。やや関節拘縮(関節が固くなること)を起こしていたため、南條PTは右手で患者さんの足の裏を支え、左手を膝に添えて補助しながら脚を動かす訓練を実施。左足も同様に行った。足首の可動域もチェックした。

自力で喀痰(かくたん)の排出が難しかったため、看護師が吸引。この後、ベッドのリクライニングを起こし「深呼吸しましょう。……では次に座ってみましょう。こちらに足を向けてください。右足から靴をはきましょう。体が後ろに倒れないように、右腕をついて支えてください」と患者さんのペースに合わせ、補助しながら端坐位の姿勢に移行した。

「どこかつらいところはありませんか」、「はい」、「どこですか、呼吸ですか」、「ええ」。この返答を聞き、パルスオキシメーターでSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定し状態を確認。「起き上がっている時間を長くしたほうが、痰も出しやすくなります。リハビリを頑張って、乗りきりましょう。今日の目標は10分座っていることです」と患者さんを励ました。南條PTは10分後、患者さんに体調を尋ねながら、翌日に車いすへの移乗訓練を行う方針を伝えた。

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