2017年(平成29年)5月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1084 二面
気道管理トレーニング
湘南鎌倉総合病院
後期研修医が参加
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は後期研修医を対象に気道管理トレーニングコースを行った。同コースは梅澤耕学・救急総合診療科医長の企画で、2009年から毎年4月に開催し今年で9回目。
気道確保をいろいろな器具を使って実践する梅澤医長
気道管理は救急医療の基本的な手技。緊急時にすぐ対応できるかどうかが患者さんの予後を左右するため、救急医はもちろん、ほかの診療科の医師も修得しておくべき手技である。また、他院から湘南鎌倉病院の後期研修医として入職した医師は、同院にどのような器具があるのか把握しておく必要がある。
そこで、梅澤医長が毎年4月に気道管理トレーニングコースを企画。今回は救急総合診療科の後期研修医4人に加え、総合内科の後期研修医2人も参加した。
まずは梅澤医長が概略を説明。同コースの目的は器具の使い方を学ぶだけでなく、気道確保困難症例への対応も含まれることを告げた。続いて稲田悠・救急総合診療科医師が救急で使う鎮静薬、筋弛緩薬、鎮痛薬の種類と特徴を解説した。
初めて見る器具でも使いこなす福井医師
実技研修ではバッグバルブマスク、ラリンゲアルマスクエアウェイなどの基本的な器具に加え、参加者にはなじみの薄いビデオ喉頭(こうとう)鏡など、さまざまな器具の使い方を梅澤医長が実演。参加者もそれぞれの特徴を把握しながら使い方を覚えた。
災害現場を想定し、狭い机の下で挿管を行うタイムトライアルでは、参加者は使いたい器具を自ら選んで挑戦。動きに制限があり四苦八苦していたが、なかには1分を切る参加者もいた。
最後にシナリオに基づいて、架空の患者さん(人体モデル)への気道管理を実践。必ず1回目の挿管が失敗するように設定してあり、それに対して器具を選び直したり、患者さんの姿勢を変えたりして、どのように対応するか学んだ。
災害現場を想定した気道確保でベストタイムを出した山本医師
コースの最後に梅澤医長は、「気道管理の大切さや方法がわかったと思います。自分たちだけでなんとかするのではなく、器具の貸し借りを含め院内でしっかり連携していきましょう」と結んだ。
参加した救急総合診療科の福井浩之・後期研修医は「教科書や映像だけでは器具の使い勝手はわからないので、実際に体験できて良かったです。気道確保が困難な症例は、結構遭遇するので、現場で実践していきたい」と意気込みを見せた。
総合内科の山本真也・後期研修医は「ふだん挿管することはないので勉強になりました。こうした知識に加え、院内の設備も知っておくと、いざという時に役立つと思います」と感想を話した。