徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)5月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1084 四面

徳洲会グループ
タンザニアでの腎移植を支援
現地の医師ら湘南鎌倉総合病院で研修

徳洲会グループは国際医療協力の一環として、11月にアフリカのタンザニアで初となる腎移植を成功させるためのプロジェクトを開始した。国立ドドマ大学の医師3人、看護師1人を5月8日、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)に迎え研修をスタート。研修は東京女子医科大学病院と協力して実施、腎移植の手術手技や術前後の管理などを学ぶ。

東京女子医大病院と協力し実施

「タンザニアでの11月の腎移植向け第一歩を踏み出しました」と小林副院長 「タンザニアでの11月の腎移植向け第一歩を踏み出しました」と小林副院長

徳洲会グループは2008年、アフリカ諸国に医療支援をスタートした。タンザニアには透析機器を10台寄贈。これまで、来日したドドマ大の医師や看護師が湘南鎌倉病院で血液透析を習得したり、同院の小林修三副院長兼腎臓病総合医療センター長らが現地に赴いて透析医療を指導したりした。最近では昨年8月、小林副院長がドドマ大を訪れ、腎移植プロジェクトについて同大幹部らと協議し、今回の研修受け入れが決まった。

研修は2チームに分かれて実施する。1回目は医師と看護師を対象に5月8日から、2回目は医師、看護師、薬剤師を対象に7月から、それぞれ約1カ月かけて湘南鎌倉病院と東京女子医大病院で行う。

「腎移植はどこでも受けられる医療であるべきです」と三宅医長 「腎移植はどこでも受けられる医療であるべきです」と三宅医長

ドナー(臓器提供者)とレシピエント(臓器受給者)との組織適合性検査や手術手技、術前後の管理、使用する機材・薬剤など、多岐にわたり腎移植の知識・技術を習得する。

職種によってスケジュールは若干異なるが、いずれも湘南鎌倉病院で手術を見学した後、東京女子医大病院で研修を受け、最後にもう一度、湘南鎌倉病院で学ぶ。

初回の研修チームが帰国する際、湘南鎌倉病院スタッフも同行しドドマ大を訪問。腎移植に必要な機材のチェック、ドナーとレシピエントの選定、タンザニア特有の感染症の確認などを行う。2回目の研修終了後、9月に小林副院長らがドドマ大を訪れ、本番を想定したシミュレーションによる実技指導を行い、11月に同国初の腎移植手術を行う予定だ。

徳洲会グループ国際医療協力プロジェクトの沿革概要

2005年~アジア、南米、アフリカ諸国に医療用ベッドや人工透析器(22カ国に合計327台)など寄贈、透析センター開設支援(現在14カ国)
2006年タイで看護学校開設支援
2006年ブルガリアで病院開設支援
2012年ブラジルで心臓病院開設支援
2014年韓国の京福大学校医療保健学部看護学科に「徳洲会クラス」開設
現 在アフリカ・ジブチの新病院(220床)開設プロジェクト進行中
5月7日に来日した医師3人、看護師1人は、9日には湘南鎌倉病院で腎移植手術を見学した。この日の手術は免疫組織学的に不一致のドナーに、血液浄化センターで血漿(けっしょう)交換、免疫抑制剤投与をしたうえで臨む特殊な症例だったが、小林副院長は「腎移植は執刀医だけでできるわけではなく、さまざまな分野の専門家がかかわって成り立っています。今回のような症例を経験することで、その成り立ちを学んでもらえたと思います」と強調した。

手術を担当した三宅克典・腎移植外科医長は、「初めて日本で腎移植の手術を見学するということもあり、流れがわかるように気を付けました。安全で確実に手術ができるよう準備を整える大切さを厳しく伝えていきます」と振り返った。

この後、東京女子医大病院で研修を継続して行い、約1カ月間で10例程度の腎移植手術を見学する見込みだ。

「腎移植の流れをすべて把握していただきます」と日髙部長 「腎移植の流れをすべて把握していただきます」と日髙部長

湘南鎌倉病院は4月に腎臓病総合医療センター内に腎移植内科を開設。日髙寿美・腎移植内科部長は「腎移植は患者さんの選定から術前後のケア(移植免疫の知識をふまえ免疫抑制剤の至適な投与など)まで長期的な管理が必要になります。約1カ月の研修だけでは伝えきれない部分がありますが、皆さんよく勉強しているので頼もしく思います」と話し、「今後は内科医の立場から腎移植を積極的にサポートしていきます」と意欲的だ。

小林副院長も「徳洲会グループの一員として大きな責任とやりがいを感じます。この研修がタンザニアで腎移植を成功させる第一歩です」と語気を込め、同院腎臓病総合医療センターが総力を挙げて協力していくことを誓った。

ベッドサイドでの処置を真剣に見守るドドマ大の医師ら(後方) ベッドサイドでの処置を真剣に見守るドドマ大の医師ら(後方)

日本のチーム医療に感銘 ドドマ大の研修チーム

ムワシャンバ・マスンブコ外科医師 ムワシャンバ・マスンブコ外科医師

手技を興味深く拝見
「内視鏡を使った腎摘出も見学でき、外科医の手技をとても興味深く拝見しました。血管手術の経験はあるので、腎移植にも生かしていければと思います。医師は死ぬまで学ばなければいけません。今回の研修で多くのことを経験していきたいです」

メレモ・アルフレッド・ジャクソン内科医師 メレモ・アルフレッド・ジャクソン内科医師

学びを自国にも展開
「多職種が一丸となり、ひとりの患者さんを助けようとする姿に感銘を受けました。腎移植は術前から術後にかけて長い管理が必要になります。タンザニアでは特有の感染症などがあるので、自国でどのように展開するか考えていきたいです」

ンコイ・ンコイ・ロード検査部医師 ンコイ・ンコイ・ロード検査部医師

術前検査に関心
「ドナー、レシピエントともに術前検査から見ることができたのは興味深かったです。また、どのようにチーム医療を運営しているのかも学んで帰りたいと思います」

ンプティ・ディヴォーダ・パンクラス看護師 ンプティ・ディヴォーダ・パンクラス看護師

手術中の役割を学びたい
「手術中の看護師の役割、腎移植に必要な機材などを学びたいです。移植コーディネーターに、役割について話を聞き、勉強したいと思います」

PAGE TOP

PAGE TOP