徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)5月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1081 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演” ④
白内障は進行前に手術!

今回のテーマは白内障です。厚生労働省によると、白内障で医療機関を受診する患者数は85万6000人(2014年度患者調査、推計総患者数)に上り、手術を必要とする眼科疾患としては最も患者数の多い疾患です。加齢により発症して徐々に視力に悪影響を及ぼし、QOL(生活の質)の低下を招きます。日本眼科学会眼科専門医の資格をもつ八尾徳洲会総合病院(大阪府)の家久来(かくらい)啓吾・眼科部長が解説します。

家久来啓吾・眼科部長八尾徳洲会総合病院 家久来啓吾・眼科部長 八尾徳洲会総合病院

白内障は角膜と硝子体(しょうしたい)の間にある水晶体が濁ることで発症します。水晶体はカメラのレンズに相当し、ピントを合わせる機能があります。症状は「ぼやけたり霞(かす)んで見えたりする(霧視(むし))」、「眩(まぶ)しさを感じる(羞明(しゅうめい)感)」、「物が二重三重に見える」、「視力低下」―など。

白内障の大多数を占める原因は加齢です。症状の現れ方や強さは人それぞれで、すぐには治療を必要としないケースも含めれば、高齢になるとすべての方たちが、この加齢性白内障になります。加齢以外の原因はステロイドの内服、糖尿病、眼球への受傷(外傷)、アトピー性皮膚炎などがあります。

水晶体の濁り方や位置は人によって異なるため、年齢と症状の強さは必ずしも一致しません。一般的には60歳代から軽微ですが水晶体の混濁が始まります。そして、平均すると80歳前後から症状を訴える患者さんが多くなります。症状に気付いたら眼科受診を勧めます。白内障は細隙灯(さいげきとう)という顕微鏡を用いて眼科疾患を調べる一般的な検査でわかります。

治療は薬物療法と手術があります。ただし薬物療法は進行を遅らせることしかできず、根治できるのは手術だけです。白内障手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。

超音波乳化吸引術という手術で、角膜の一部に創口をつくり、超音波の周波数で振動する金属チップを先端にもつ管状の細い器具を前房内に挿入し、振動する金属チップで水晶体を破砕し吸引します。局所麻酔で行い、平均的な混濁の白内障であれば手術時間は10分前後です。日帰り手術も可能です。

上/白内障の術前写真、下/眼内レンズを挿入した術後写真 上/白内障の術前写真、下/眼内レンズを挿入した術後写真

眼内レンズは単焦点レンズと多焦点レンズの2種類あります。単焦点は遠近どちらかしかピントが合いませんが、視野が明るい、保険適用であるといったメリットがあります。必要に応じてメガネをかけます。多焦点の多くは遠近のふたつに焦点が合うタイプで便利ですが、単焦点と比べて鮮明度は劣ります。また多焦点は自費診療になります。

手術時期は、症状の程度や生活の不便さに応じて主治医と相談して決めてください。ただし白内障は進行すると、褐色白内障や過熟白内障といった進行した状態になり、通常の超音波乳化吸引術が行えなくなることもあります。この場合、水晶体嚢外(のうがい)摘出術という術式を選択することがあるのですが、手術時間が長くなり、その分、患者さんの負担が増します。

また白内障に合併する注意すべき疾患として閉塞隅角(ぐうかく)緑内障があります。眼球内には房水という液体が循環し、房水は常に生成・排出されています。白内障が進行すると水晶体の膨化(ぼうか)や水晶体を支持するチン小帯の脆弱化によって水晶体の前方移動が生じます。これにより房水の流れが瞳孔でブロックされ、眼内の圧力(眼圧)が高まり視神経を痛めます。このタイプの緑内障は急激に進行します。緑内障は一度視野が欠損すると根治不能ですので注意が必要です。

白内障は進行前に手術することが肝要です。該当する症状があり、心配な方はクチコミなどをもとに地元の医療機関を受診してください。

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