徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

前田 徹(まえだとおる)(名古屋徳洲会総合病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

前田 徹(まえだとおる)

名古屋徳洲会総合病院院長

2017年(平成29年)4月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1078

救急搬送依頼を絶対断らないが大原則
どんな症例も初期対応する覚悟が必要
短期間で成果求めず常に上を目指し努力継続

2009年1月に当院の院長職を拝命し、同時に旧病院からの新築移転を決意。5年後の14年4月に新築移転することができました。

移転後、病院の業績は順調に伸びており、患者数の変化などを移転前(13年度)と比較したところ、移転後3年目(16年度)で、入院患者数35%、外来患者数33%、救急搬入件数51%、手術件数45%、紹介患者数34%の割合でいずれも増加。医業収入、医業利益も事業計画を達成。一方、全職員数は442人(13年4月1日付)から578人(16年同日付)、常勤医師数は32人から55人になりました。

患者数増加の結果、今年1月には開院以来初の満床を経験しました。当院は許可病床350床ですが、私が院長を拝命して以降しばらくは入院患者数が200人前後で推移していた頃もあり、当初は少し戸惑(とまど)いました。その際にわかったのは(当たり前ですが)満床になると次に来る重症の患者さんを受け入れることができなくなることです。

高度な医療を行う能力は十分あるのに、満床のために次の重症患者さんの治療ができないというのは非常に残念な話で、絶対に避けなければなりません。一時的なオーバーベッドでの対応は可能ですが、常日頃から質の高い医療を行い、地域で良好な医療連携を築くことで、在院日数を適切にコントロールし、いつでも次の患者さんを受け入れることができるように準備しておくことが肝要です。決して満床だから断るということはないようにしたいものです。

当院は、救急隊からの搬送依頼を絶対に断らないことを大原則としています。

徳洲会は、救急搬送の受け入れを断る理由として「自院では対応できない症例」が最も多くなっています。これは一見正当な理由であるように思われますが、正しいのでしょうか。

救急隊との勉強会を定期開催 信頼関係の下で救急受け入れ

私自身、対応できない症例は断らざるを得ないと思っていた時期もありましたが、現在は正しくないと考えます。

少なくとも今は、対応できない症例だから断るということはしていません。対象となる領域の専門医がいない場合は、その旨を救急隊に告げたうえで、それでも搬送を依頼してくる場合は受け入れ、初期対応を行い、症例によっては対応してくれる病院を探し、病病連携の形で紹介しています。

当院は、普段から救急隊との勉強会を定期的に行っており、当院に患者さんを搬送してくる救急隊は当院の医療の内容、医師の陣容などを十分理解しています。そのうえで搬送を依頼してくるのであり、他に受け入れてくれる病院がない場合、当院が断れば搬送先がなくて困ることになります。

一見、対応が難しいと危惧される症例も、いざ受け入れてみると案外十分に対応できることが少なくありません。どんな症例も受け入れて初期対応をする覚悟が急性期病院には必要です。

何歳になってもチャンスがあれば躊躇なく挑戦すべき

私は大学を卒業以来、整形外科医として医療に携わってきました。院長である前に一整形外科医であると思っており、以前にも増して整形外科医としての仕事にも注力しています。週3回の外来では一人ひとりの患者さんの訴えに耳を傾け、その方への最善の治療法を模索し、手術室では脊椎(せきつい)と人工関節の手術に全力を注(そそ)いでいます。

学会での発表も行っています。昨年からは、母校の徳島大学の病院に15年に設置されたクリニカルアナトミーラボ(献体されたご遺体を医学生の解剖実習、医師の教育・研究に利用する施設)で、脊椎固定術に用いる椎弓根(ついきゅうこん)スクリューの基礎実験もしています。

月に1、2度、日曜日ごとに大学に通い、朝から夜まで実験し、その成果は昨年の日本臨床バイオメカニクス学会で発表しました。この歳になって基礎実験など、今さらの感が拭(ぬぐ)えませんが、何歳になってもチャンスがあれば、躊躇(ちゅうちょ)なく挑戦すべきだと思っています。

この4月、当院は新入職員93人迎え、医療人としての人生をスタートしてもらっています。常に上を目指して努力を継続することで、年々成長し、技量もレベルアップしていくものと思います。短期間での成果を求めず、肝を据(す)え、目の前の患者さんのためになる医療に取り組んでほしいです。

皆で頑張りましょう。

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