徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)4月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1078  四面

読み解く・読み得“紙上医療講演” ③
SAS治療し命を守る

今回は睡眠時無呼吸症候群(SAS)がテーマです。睡眠中に頻繁に呼吸が止まり、何度も睡眠が妨げられることで、日中の強い眠気や倦怠(けんたい)感、起床時の頭痛など症状を引き起こします。また重症のSASは、放置しておくと心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる疾患の発症リスクが高まるだけに、適切な治療が求められます。日本睡眠学会認定医資格などをもちSAS外来の診療を受けもっている湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の近藤哲理副院長が解説します。

近藤哲理副院長 湘南藤沢徳洲会病院 近藤哲理副院長 湘南藤沢徳洲会病院

国内のSAS患者さんは、医療機関にかかったことのない潜在的な患者さんも含めると200万~300万人と言われています。また、北米で行った調査によると、男性の30%、女性の15%がSASで、男性の15%、女性の5%は治療が必要なレベルだったという報告もあります。

SASには中枢性、閉塞性、混合性の3タイプありますが、約9割と、ほとんどの患者さんは睡眠中に舌の筋肉が弛緩(しかん)して喉(のど)の奥に落ち込み、気道が狭くなったり塞がったりすることで起こる閉塞性SASです。今回は閉塞性を対象に話を続けます。

症状は、いびき、日中の眠気、睡眠中の呼吸停止、起床時の口内乾燥、熟睡感欠如、倦怠感、夜間排尿、集中力低下などがあります。

一晩の睡眠のなかで1時間当たりに生じる無呼吸・低呼吸の頻度(無呼吸低呼吸指数=AHI)が5回以上あるとSASと診断、5回以上15回未満は軽症、15回以上30回未満は中等症、30回以上は重症という判断基準があります。

各種計測装置を付け1泊入院で行うポリソムノグラフィー 各種計測装置を付け1泊入院で行うポリソムノグラフィー

SASになりやすい人の特徴としては肥満、あごが小さい、中高年の男性、更年期後の女性などです。重症度が増すほど患者さんに占める肥満者の割合は高く、強い関係性が認められています。肥満が主たる原因でSASを発症している場合、減量で症状の改善を図ることができます。

重症のSASを放置しておくと、脳卒中や心筋梗塞で亡くなる患者さんが多いこともわかっています。つまりSASは適切な治療を怠っていると「寝れば寝るほど命が縮まる病気」といっても過言ではないのです。さらに、高血圧や糖尿病、認知症の悪化因子でもあります。

診断は、まず自宅に検査装置を持ち帰って行う簡易検査を実施。この検査結果からSASが疑われた場合、ポリソムノグラフィーと呼ばれる一泊の入院検査を行います。SpO2(血中の酸素濃度)、脳波、いびき、呼吸状態、心電図、体位などの記録をとる検査です。

睡眠中に鼻マスク式の医療機器を装着するCPAP 睡眠中に鼻マスク式の医療機器を装着するCPAP

治療法は、軽症の患者さんであれば睡眠時にマウスピースを着用します。ポリソムノグラフィーでAHIが20回/1時間以上ある中等・重症の患者さんは、CPAP(シーパップ)(持続陽圧呼吸療法)の適応となり健康保険が使え、簡易検査でもAHI40回/1時間以上なら保険適用となります。3割負担で月に5000円くらいです。鼻マスク式の装置を毎晩装着して睡眠を取り、気道が閉塞するのを防ぎます。

日中の眠気が改善、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを軽症患者さんと大差のない程度にまで低減できることなどがわかっています。簡易検査を行う診療所は増えていますので、ご心配な方は、まず、近くの診療所を受診し、入院検査が必要な場合には、対応している病院を紹介してもらうのが良いでしょう。

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