徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2016年(平成28年)9月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1050 三面

札幌東徳洲会病院
苦手な主訴に強くなる
第4回EZO―GIMER

札幌東徳洲会病院は8月27日、札幌市内で第4回EZO-GIMER(エゾジャイマー)を開催した。主に道内の初期研修医や医学生を対象とした救急と総合内科領域がテーマのセミナーで、今回の副題は「たった一日で研修医が嫌な主訴・苦手な主訴に強くなる」。道内外から約100人が集まる盛況ぶりで、参加者は熱心に講師の話に耳を傾けていた。

徳洲会グループ内外から約100人が集まり盛況 徳洲会グループ内外から約100人が集まり盛況

NHKの医療番組「総合診療医ドクターG」でもおなじみの福井大学医学部附属病院総合診療部の林寛之教授をゲスト講師に招き、札幌東病院救急科の増井伸高医師をはじめ、道内の病院で活躍する医師が講師を務めた。

開会挨拶では一般社団法人Sapporo Medical Academy の岸田直樹・代表理事(医師)が「今回は研修医が苦手とする主訴がテーマですが、これは他の多くの医師が苦手な主訴でもあります。今日は楽しみながら学んでください」と呼びかけた。

はじめに林教授が失神診療の総論やポイントをレクチャー。失神は一過性の意識消失のことで、脱力をともない数分で完全に元の状態に戻る症状を指す。林教授は「まず本当に失神かどうかを見極めることが重要」と強調。意識の戻りが遅い場合は意識障害であり、低血糖やてんかんなどが疑われるためだ。

このあと①心血管性失神、②起立性失神(出血、貧血、脱水)、③血管迷走神経反射(神経調節性失神)を説明。とりわけ① ②は死につながるおそれのある疾患が原因であるため、「きちんと診断し、見逃してはいけません」。

「ひとつひとつ疾患を想定しながら問診を行ってください」と林教授 「ひとつひとつ疾患を想定しながら問診を行ってください」と林教授

心血管性失神の原因疾患には、不整脈(心室細動などの頻脈性、房室ブロックなどの除脈性、洞停止)、器質的疾患(心不全や心筋炎、心タンポナーデ、大動脈弁狭窄(きょうさく)症、大動脈解離、肺塞栓、SAH=くも膜下出血)などがある。「ひとつひとつ疾患を想定しながら問診を行ってください」などと呼びかけていた。

続いて、勤医協中央病院総合診療センターの松浦武志・副センター長は、心血管性失神の入院適応や病歴のポイント、起立性失神の身体所見や神経調節性失神の診療方針、失神と痙攣(けいれん)の鑑別のポイントなどを解説した。

「見逃しやすいヤバい失神心電図」と題し講義したのは増井医師。参加者は失神患者の心電図を見て、診断名と実施すべきアクションを手元のボードに記入。増井医師が答え合わせとポイントの解説を実施、クイズ形式の進行で盛り上がった。

市立札幌病院救命救急センターの佐藤朝之医長は意識障害を鑑別する際の基本的なツールであるPOCT(point of care testing)を用いてAIUEO TIPS(アルコール中毒や低血糖などの頭文字を並べたもの)をひもとき、丁寧に解説した。勤医協中央病院総合診療センターの臺野巧センター長は「脳卒中以外で意識障害を来すMRI所見を知る」ことを目標に掲げ、症例画像を提示しながらポイントを講義。

岸田・代表理事は「“倦怠(けんたい)感”はここから攻めるべし」と題して講義。「糖尿病患者さんの全身倦怠感には重篤な疾患が隠れている可能性があります」など実践的なアドバイスを送った。江別市立病院の濱口杉大・教育センター長は、主に大脳基底核の異常によるドーパミン不足・過剰で引き起こされる不随意運動を説明。「筋収縮している場合は薬剤歴を確認し、片側に筋弛緩(しかん)が起こっている場合は脳血管障害を疑ってください」などとレクチャーした。

心電図を提示しクイズ形式で盛り上がる増井医師の講義 心電図を提示しクイズ形式で盛り上がる増井医師の講義

グループワークでは意識障害などのケースを想定し、情報収集や検査、処置、診療方針などをディスカッションし、グループごとに発表を行った。

最後に札幌東病院救急科の松田知倫医長が「会場に集まった参加者は皆、同じ志を持った仲間です。今日学んだことや出会い、つながりを今後に生かしてもらえたらありがたい」と閉会の挨拶。

札幌市内の大学から参加した医学生(5年生)のひとりは「見学でも、失神や倦怠感などは研修医が悩んでいる場面を見かけます。今日はとても勉強になりました」、初期研修医(2年次)は「すごくためになりました。ふだん意識していないところを丁寧に教えていただき、明日からの臨床に役立てられそうです」と感想を話していた。

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