徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2015年(平成27年)10月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1002 三面

日本褥瘡学会学術集会
徳洲会から10演題
先進的褥瘡研究が開催テーマ

第17回日本褥瘡(じょくそう)学会学術集会が2日間にわたって宮城県仙台市で開催された。全体テーマは「先進的褥瘡研究の推進」。徳洲会からは一般演題で7題の口演(口頭発表)と3題のポスター発表があった。高齢人口が増加するなか、褥瘡の発生予防や効果的な治療法の研究・実践・普及は重要な課題。口演を中心に紹介する。

治療効果と経済性を兼備

静岡徳洲会病院 村山弘之・外科医長

「当院におけるラップ療法を中心とした局所治療とラップ療法の工夫と意義」ラップ療法とは創面を覆い保護する治療法の一種で、静岡病院は工夫を重ね、現在は穴あきポリエチレン袋+床ずれ防止パッドを使用している。同院はラップ療法以外にも、被覆材、フィルムドレッシング、非固着性絆創膏、外用剤、VAC療法(陰圧閉鎖療法)による褥瘡の総合的な局所治療を実践。

ラップ療法では常時3~4種類のサイズのパッドを用意し、浸出液の量に応じて使い分けている。「ラップ療法は治療効果と経済性を兼ね備えた優れた治療法です。災害時の医療物資が枯渇した状況で有用な治療法でもあります」とまとめた。

適時調査を改善の契機に

静岡徳洲会病院 伊藤真弓・看護師長

「厚生局適時調査から学んだ褥瘡対策の役割と当院の今後の課題」厚生局による適時調査(医療機関が適切に運営されているかどうかを確認する実地調査)が、院内の褥瘡対策の現状把握や改善のきっかけとなったことから、今後の課題を含めて報告。適時調査ではおおむね問題なしとされた一方、専任看護師の役割の明確化や処置マニュアルの作成などが今後の課題として浮かび上がった。

「多職種との協働によるチーム医療を極め、院内の褥瘡対策を徹底していけるよう、さらなるシステムの構築をしていきたい」と結んだ。

過剰肉芽に効果ある薬剤

静岡徳洲会病院 坂田志穂・薬剤部主任

「上皮化が停滞した褥瘡へのステロイドの使用により創傷治療が好転した症例の検討」ステロイド外用薬は治癒遅延や感染症の誘発、増悪を招くとされる一方で、過剰肉芽(盛り上がりすぎた肉芽。肉芽は、創傷が治癒する過程で発生する新しい組織)が顕著な創には効果があるといわれている。坂田主任は同薬使用による改善例を報告。

「多くの症例で肉芽が引き締まり上皮化(皮膚の再生)の開始と創の縮小が見られました」と発表。また、過剰肉芽をともなわない治癒停滞のケースで、薬剤を変更したところ改善したことから、「含有抗生剤の変更が奏効した可能性が示唆されました」とし、「上皮化が停滞した褥瘡に対しては抗生剤含有ステロイド薬が選択肢のひとつになると考えられます」と説明。

多発褥瘡へのアプローチ

静岡徳洲会病院 早川梢江薬剤師

「インプラントを有し壊死(えし)性筋膜炎を伴う褥瘡を含む多発性褥瘡に対して多角的アプローチで改善した一例」男性患者さんで、右大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折により手術後、寝たきりになり、右大転子部などに褥瘡が多発。かかりつけ医が治療に難渋し同院に紹介、入院した。壊死をともなう褥瘡が多発しており、右大転子部は壊死性筋膜炎を起こしていた。

デブリードマン(壊死組織の除去)を施行し、抗生剤投与、基礎疾患の管理、局所治療、栄養管理、体圧分散など多角的にアプローチ。「インプラントが露出した右大転子部と仙骨部中央を除いてすべて治癒し、可能な限りの改善は得られました」と結んだ。

マニュアル導入で効果

静岡徳洲会病院 立山由香利・看護副主任

「褥瘡対策におけるエアマット体重設定ミスの抽出と適正使用への取り組み」エアマットは体重設定を誤ると褥瘡発生につながる恐れがある。同院は正確な体重設定による褥瘡発生率の低下に向けた取り組みを実施。まず全病棟をラウンドしエアマットの体重設定状況を調査し、現状を把握。次に、エアマット使用方法のマニュアルを作成、導入したところ、体重設定ミスの割合が有意に減少した。

「マニュアルを作成し効果的な介入ができました。今後、マニュアルの運用を浸透させるため継続的な教育が必要と考えます」と報告した。

ずれや摩擦の減少が大切

庄内余目病院(山形県) 高橋直美看護師

「オムツによる圧の検証」日常生活自立度Cランク(1日中ベッド上で過ごし、排泄(はいせつ)、食事、着替えで介助を要する)の患者さん42 人の体圧などを測定。30度側臥位(そくがい)時に左右のどちらかに正常値(32㎜Hg)以上の圧がかかっていた患者さんは20人で、オムツが左右対称ではなく片寄りが見られた患者さんのなかには、テープ部分が当たっている側の皮膚にかかる圧が40㎜Hgを超える患者さんがいた。

「オムツの当て方によっては圧が高くなり、潰瘍形成に至る場合があります。体位変換時はしっかり持ち上げることで、オムツのずれや摩擦を少なくすることが大切です」とまとめた。

栄養剤変更で褥瘡改善

静岡徳洲会病院 井口沙緒里・管理栄養士

「下痢症状を有する透析患者が経腸栄養剤変更により下痢症状と褥瘡の改善がみられた一例」排泄物による汚染で褥瘡治療に難渋する場合があるため、下痢の改善は必須。経管栄養投与患者の下痢改善には投与速度の調節が第一選択だが、改善が見られなかったことから、低浸透圧で食物繊維が多くオリゴ糖を含む栄養剤に変更。その後、下痢症状の改善が見られ、肛門周囲の爛(ただ)れや褥瘡の改善も認めた。

「透析患者さんで水分制限も考慮した腎疾患対応栄養剤では、浸透圧が高く、投与速度の調整のみでは改善が困難な場合があります。本症例では栄養剤の変更が有効だったと考えます」と結んだ。
ポスター発表の演者とテーマは次のとおり。「見える化を図った褥瘡発生予防への取り組み」八尾徳洲会総合病院(大阪府)の油谷裕子看護師、「当院での体圧分散寝具選定~失敗から学んだマットレス選定~」同院の井元英樹看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)、「病棟内における体位変換実施の現状」同院の有田樹美看護師。

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