徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

青嶋 實(あおしまみのる)(近江草津徳洲会病院院長)

直言 いのちだけは平等だ~

青嶋 實(あおしまみのる)

近江草津徳洲会病院院長

2017年(平成29年)3月6日 月曜日 徳洲新聞 NO.1072

専門医が実力を発揮する医療に加えて
総合診療医を中心としたチーム医療も
“自由と愛”こそが徳洲会精神の神髄で魅力

私は京都大学医学部を卒業し、約半年間の研修の後、神鋼(しんこう)病院(現・神鋼記念病院)の外科に赴任しました。専門に外科を選んだのは、自分の技術で人を助けられるからです。患者さんや家族からの「ありがとう」という感謝の言葉は、外科医にとって最高のご褒美です。大学の同期には、年齢は上ですが、名瀬徳洲会病院(鹿児島県)の板垣徹也顧問がおられました。

神鋼病院時代は病院に泊まり込みの毎日で、ドアを開けると即出勤。その後、いくつかの病院の勤務を経て後年、大学院に進みました。

ある病院での出来事です。新しい手術手技について、病院では当時その術式を推奨していたのですが、私は術後経過をふまえ、その術式の適応に否定的な考えでした。外国の医学誌に論文を出そうと試みたこともありました。結局、その病院を辞め、京都駅前の武田病院へ転勤し、一から出直しました。その後、静岡県立総合病院への赴任を命じられましたが、結果に対してすべての責任を負う約10年間の生活は、最も充実した日々の連続でした。

私は臨床医を目指していたのですが、その後、新たに着任した教授とうまくいかず辞めようと思いました。そんな折、徳洲会東京本部の宮﨑仁宏(まさひろ)・医師人事室部長から「徳田虎雄理事長(当時)の許可をもらっているので、徳洲会に来ていただきたい」と誘われました。徳田先生とは、その頃、赤坂にあった東京本部でよく会いました。「世界中に病院をつくる」という夢のような話を、食事をしながら毎回聞かされました。先生は靴下に穴は開いているし、ズボンのベルトはボロボロ、ワイシャツに至っては週に1回しか着替えないなど、身づくろいに構わない方でしたが、「自由を求め、愛に生きる」などの文言が先生の手帳に書き込まれていました。

大学内の人事的抑圧や、派閥的人間関係に気を遣う束縛感から解放され、心は自由になり、病と戦っている目の前の人に、真剣に、自由に思う存分、救いの手を差し伸べようとする医療人の本来の姿が、その時、目に浮かびました。「自由と愛」、これこそが徳洲会の精神の神髄であり、魅力だと直感しました。

近隣の医療施設と密に連携 紹介数は同規模病院より上

当院は手の外科手術を含む整形外科手術、超高齢者を含んだ心臓大血管手術の挑戦を重ねてきました。チーム医療を駆使して、驚異的な術後回復力の一層の増進と、小児救急輪番を含む小児医療と健診センターや透析センターの充実、腹腔(ふくくう)鏡などを用いた低侵襲外科手術の推進、心不全・腎不全症例での全身管理の拡大を目指しています。

わずか199床ですが、外来患者さんの数は少なくありません。近隣の病院やクリニックとの連携がうまく図れているため、紹介数はこの規模の病院としては多いと言えます。滋賀医科大学からは医師を派遣していただいているだけでなく、PET(陽電子放射断層撮影)を含む検査の依頼があります。

現在、当院直属の研修医はいません。臨床研修指定病院から協力病院になってしまいました。再度の認定には時間がかかると言われていますが、この問題は避けて通ることができません。徳洲会は当院を臨床研修の病院に指定しており、関西地区から研修医が来ることもあります。

高齢者の精神的フォローと孤独にさせない環境づくり

当院も「2025年問題」が大きなテーマとなっています。滋賀県統計課によると、1月1日の草津市の高齢化率は約20%と低い割合ですが、今後は高くなると考えられます。

高齢者の独居、高齢者のみの世帯となると、新たにいろいろな問題が派生してきます。骨粗鬆(こつそしょう)症による骨折、入所できない福祉施設の問題、老老介護等々。

これらへの対応に加え、高齢者には精神的フォローも欠かせません。家族間の温かいつながりをバックアップする役割も私たちにはあります。孤独でなく周囲に「ありがとう」と言える環境づくりの一助になりたいと思っています。経鼻経管や胃瘻(いろう)なしで、自宅への訪問診療・看護・介護が可能な体制づくりも急務です。

今後も救急・急性期医療、慢性期医療、予防医療の役割を果たしながら、新しい分野に挑戦していきます。専門医が実力を発揮するのは当然ですが、チーム医療の境界を埋めるのは総合診療医だと考えます。

皆で頑張りましょう。

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