徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

直言 いのちだけは平等だ~

新保 雅也(しんぼまさや)

高砂西部病院院長

2017年(平成29年)2月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1071

地域から望まれる医療を提供して
必要とされる病院を追求していく
あと5年踏ん張りさらに成果を出す

高砂西部病院は今年で開院14年を迎え、私自身は当院に赴任して約5年が経ちます。前任地の岸和田徳洲会病院では、ハードな救急要請にも対応できるように院内体制を整えていくうちに、全体のレベルアップが図られるように変化、成長していきました。これこそ今まさに当院に求められていることです。

今は、すべての救急を受け入れるまでの体制が整っていませんが、昨年は年間約2300件、今年1月には単月で過去最高の278件の救急を受け入れています。病床も開院以来最高の稼働率に達しました。「地域から望まれる医療を提供し、必要とされる病院でありたい」。これこそが私たちの「理念」と「基本方針」です。

さらに、職員にとって多少しんどくても、離職率が低く働きがいがあって大いに成長できる環境を目標としています。勉強会参加などを奨励、経済的にもサポートし、毎年TCLS(徳洲会心肺蘇生講習)を開催してもらっています(昨年は私自身も参加し、4000人目の受講生となりました)。事務職員のMBA(経営学修士)コースへの入学も考慮しています。

石の上にも3年と言いますが、それは個人レベルのこと。企業や病院組織という大きな生命体では、明らかな変化、成長が外部からもわかるのは、5年から10年かかると感じています。現在は当院でも経営が安定し黒字となっていますが、あと5年は踏ん張って、さらに成果を出していきたいと思います。

「2025年問題」を目前に認知症患者さんの対応が急務

現在、実働199床ですが、20床が開棟していない状況にあります。先日、医療圏域で病床増床の公募があり、手を挙げましたが、20床がまだ閉じていることを理由に許可されませんでした。私としては、現在閉じている20床と合わせて計50床の回復期病棟を開設したかったのです。これはどの病院も抱えている「2025年問題」に対処するためでした。

高砂市は25年の高齢化率を29.3%と予測しています。恐らく地域が抱える問題は増えこそすれ、減るということはないでしょう。

当院周辺には介護施設が数多くあり、体調不良で施設から搬送されて来られる患者さんが多くおられます。クリニックとの連携にも注力しているため、依頼があれば当院に入院していただいています。

私は高砂市医師会の理事で、毎月会合にも出席していますが、高齢者の問題は、どの先生方も抱えておられると感じています。認知症の患者さんをどうするか、精神症状を抑える薬があっても根本的には治らないから長期投与が必要、胃瘻(いろう)造設などの問題があります。

当院には認知症認定看護師がいて、勉強会なども開いていますが、なかなか今後の展望が図れずにいるのが現状です。認知症の患者さんが無断で外出しないように、手首に巻いたセンサー付きタグでチェックできるようにもしています。独居の方が退院したあとの生活も、私たちの守備範囲です。

こういうことは長寿国で発生している人類初の問題で、日本が最先端を行っていると言えるでしょう。若くして亡くなることを思えば、贅沢(ぜいたく)な悩みなのかもしれません。

「孝行したいときに親はなし」と、ついこの間まで言っていた気もしますが、親子の愛情や倫理観も変わりつつあります。離島・へき地には隣近所との固い絆があっても、都市部にはそれがほとんどありません。

また、介護要員として今後、東南アジアから介護士を招くことも考えています。

感謝の気持ちを忘れずに希望のある高齢者時代へ

人口減、高齢化と一見暗い話題ばかりですが、昔では考えられなかったほど、皆が長生きし、人生経験からの英知が、さらに集約される時代に突入したと考えてみてはいかがでしょう。かの伊能忠敬(いのうただたか)は50歳代になってから30歳代の師匠に付いて測量を学び、ひたすら歩き回って日本地図の基礎をつくったと言われています。

昔は若い頃にしか失敗は許されなかったと思いますが、長寿になったおかげで、年を取ってからの失敗も十分に取り返せる。長生きのメリットを享受できる――このような「高齢者ドリーム」がほぼ実現しつつあります。そんな日本に生まれたことに感謝の気持ちを抱き、皆で頑張りましょう。

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