徳洲会グループ

吹田&札幌南病院が発表

第60回日本生体医工学会大会が6月15日から3日間、オンラインで開かれ、シンポジウム「災害時病院被災による電源喪失に対する対応」で、吹田徳洲会病院(大阪府)の福田幾夫・心臓血管センター長と札幌南徳洲会病院の工藤昭子・看護部長がそれぞれ発表した。

福田センター長は「大災害での病院被災~過去の教訓から学ぶ~」と題し発表。将来、南海トラフ地震や首都直下地震、地球温暖化による風水害などで病院が被災し機能を失うリスクに言及し、病院機能を維持するための備えが重要であると訴えた。

たとえば建物や電気、上下水道、燃料、医療ガス、通信など病院を支えるインフラストラクチャーが被災すると、病院機能は大きく低下。診療業務を支える職員の安全確保も病院機能を維持するために欠かせないと強調し、過去の病院被災を検証した。

建物では、阪神・淡路大震災(1995年)や熊本地震(2016年)で震度7の地震による建物損傷で使用不能となったケース、常総水害(15年)や西日本豪雨災害(18年)で浸水のために病院からの避難を要したケースなどを紹介。

電気では、東日本大震災(11年)で原子力発電所の浸水と送電網の損傷のため、東北・北関東で停電が数日~1カ月程度続き、非常用電源の不具合により完全停電した病院があった。北海道胆振(おびろ東部地震(18年)では、被災地の火力発電所の停止による需給バランスの障害から、北海道全域が完全停電となり復旧まで約2日を要した。

上水道では、断水は回復まで時間がかかるため、水を大量に使用する透析や手術室の運営に支障を来す一方、給水車からの補給だけでは、病院での必要量を満たすことはできないと指摘。

さらに、南海トラフ地震では長期間の停電と供給の遮断により、孤立する病院が出る可能性もあるとし、「大災害では職員も被災者となり、交通網の遮断で少ない人員での傷病者対応が必要となります。平時でのBCP(事業継続計画)策定が重要です」とまとめた。

工藤・看護部長は「北海道ブラックアウト時の小規模病院の教訓」をテーマに発表した。18年9月6日午前3時7分、北海道胆振東部地震が発生し、その後、北海道全域が停電(ブラックアウト)。

同院は当時、新築移転を控える築37年の老朽化した小規模病院(88床)だったが、建物に被害はなかった。

しかし、41時間の停電により、透析治療・人工呼吸器の管理や通常診療体制に大きな影響があったと述懐。非常用電源設備に必要な燃料も入手困難な状況下だったが、EMIS(広域災害救急医療情報システム)への登録により、透析・人工呼吸器の管理を要する患者さんの治療継続に向け、患者移送を速やかに行うことができたと強調した。

幸運だったこととして、停電訓練を実施した直後だったこと、病院祭を予定していたため食材が豊富だったこと、温かい季節だったことなどを列挙。さらに、グループ病院からの援助や透析室を借りられたことも助けになったと報告した。

この経験の教訓として、「自施設の電気や水などライフライン設備の規模を職員が事前に知っておく、連絡体制や備品の準備をしておく、災害時に職員一人ひとりが迷わず動けるようなアクションカードを準備しておくことが必要です」と締めくくった。

 

→徳洲新聞1297号掲載