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訪問看護は在宅の“伴走者”

国が医療・介護の在宅を推進するなか、多様な在宅サービスが行われています。そのなかでも、とくに重要な役割のひとつを担っているのが訪問看護です。しかし、サービスの中身や対象者、訪問介護との違いなど、いまひとつわかりづらい側面があります。今回は訪問看護の基本について、愛心訪問看護ステーション(訪看ST、神奈川県)の野口薫所長(徳洲会看護部門訪看STブロック長)が解説します。

訪問看護は在宅で療養する患者さんのもとに、看護師をはじめ保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった看護職やリハビリテーションセラピストが訪れ、医療ケアを行うサービスです。原則、戸建てやサービス付き高齢者住宅など“住まい”が対象となります。訪看STによる訪問看護を行うようになったのは1990年代で、老人保健法の改正によるものでした。

当初は「老人訪問看護」と、主に外来に通えない高齢者が対象でしたが、90年代半ばの改正健康保険法により、高齢者以外の在宅療養者にも実施できるようになりました。

さらに2000年にスタートした介護保険制度でも訪問看護が適用。国策として医療・介護の在宅化が進む社会背景も相まって、現在、訪看STの数は全国に1万超、介護保険制度施行前から3倍増になっています。最近は株式会社など営利法人が運営主体の事業所も少なくありません。

サービスの中身は在宅で療養されている方のお世話になります。介護保険の訪問介護と混同されがちですが、前述したように訪問看護は「医療ケア」のため、何らかの疾患を抱えている方に、医師の指示の下で活動します。あくまでも治療のサポートが目的ですから、本人の健康状態のチェックや処置、療養上の相談、看取りなどを行い、訪問介護のような掃除や調理、洗濯など日常生活上のお世話をすることはありません。

食事や入浴、排泄(はいせつ)などの介助を行うのは、医療機器を装着している方や医療的な処置が必要な方など、本人の状態を細かく把握しながら適切に実施する必要があるからです。リハビリセラピストが在籍しているのも、看護師と連携しながら専門的なリハビリを行うことが、より機能回復に効果的だからです。小児や認知症、精神疾患のある方など対象者が幅広いのも訪問看護の特徴です。

訪問は、定期を基本としながらも体制を整え24時間対応している訪看STもあります。1回当たりの訪問時間は、主に介護保険では20分未満、30分未満、1時間未満、1時間半未満など類型化され、医療保険ではおおむね1時間となっています。

介護保険対象者でも、がんの終末期や難病など特定の疾患は医療保険となり、一部公費を使用します。このほか小児や精神の医療証の使用もあります。このように費用は異なるため、訪看STやかかりつけの医療機関、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談すると良いでしょう。

訪問看護に対して、「医療処置が多いような方しか利用できないと思っていた」との声をよく聞きますが、疾患をもち、在宅生活に不安を抱いている方であれば、重症の患者さんでなくても利用できます。私たち訪問看護師は、患者さんが安心して在宅生活を送れるようにサポートする“伴走者”です。訪問看護が必要かどうかは一緒に考えますので、まずはお気軽に相談してみてください。

 

→徳洲新聞1291号掲載