成田富里徳洲会病院
国内外の被災地で医療支援活動を展開するNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、新しい研修コースである「病院防災コース」を創設した。同コースは災害発生時の病院の対応を総合的に学べる研修会。11月1日に成田富里徳洲会病院(千葉県)で第1回を開催、感染対策を徹底し22人が受講した。
病院防災コース創設の意義について、福島安義TMAT理事長(一般社団法人徳洲会副理事長)は、「ひと言で〝病院〟と言っても、規模も設備も違いますので、各病院がそれぞれに応じた形で災害時の備えをしていかなければいけません。これはBCP(事業継続計画)のひとつでもあります」。
具体例に言及し「たとえば大地震でガスが止まった場合、冬場の寒冷地では暖房器具が使えなくなり、死活問題にもなりかねません。このため医療機能の維持だけでなく、そのような問題も含めあらためて見直す必要があります。その手伝いをTMATがしていきたいと思います」と明かした。
当日は講師をTMAT隊員である札幌東徳洲会病院の合田祥悟・救急集中治療センター医師が務め、チューターとして四街道徳洲会病院(千葉県)の栁澤修平・看護師長、成田富里病院の浅野昌子看護師がサポート。合田医師は「この研修をとおし、ひとつでも新しいアイデアを見つけてほしい」とメッセージを送った。
まずは講義からスタート。病院防災では「防災マニュアル」が重要な位置を占めると強調。これは災害急性期の動的な対応に関し、取り決めを記したものであり、実際に使用に耐えられるか随時見直すことも必要と助言した。さらに災害医療の大原則としてC(指揮・統制)、S(安全)、C(情報伝達)、A(評価)、T(トリアージ=緊急度・重症度選別)、T(治療)、T(搬送)の頭文字を組み合わせた「CSCATTT」などについても解説した。
講義の後はグループワークを実施。まず「発災前準備」では、災害対策本部のメンバーを院内の職員を実際に配置し決定。さらに同院の見取り図を使い、トリアージエリアを策定するため、出入口を明確化し、傷病者・救急搬送の動線を一方通行にするなどの留意点をもとに話し合い、それぞれ作成した案を発表した。
続いてテーマを「発災後」に移し、マグニチュード7.3の地震で電気とガスが止まった状況を想定したグループワークを実施。大きな揺れを感じた時、「災害に対するスイッチ」をどのような基準で入れるべきか、病院としてどのような行動に移るべきかなど話し合った。また、情報を時系列に記録する「クロノロジー」という手法も学び、グループごとに実践した。
その後も、職員が登院できない時の対応、災害時の食事提供、マスコミへの対応など、起こり得るさまざまな内容を想定しディスカッション。コースの締めくくりには、合田医師が北海道胆振(いぶり)東部地震での札幌東病院の対応などを報告した。
最後に、成田富里病院の村山弘之副院長がTMATに謝意を表した後、「今回学んだことを単なる知識として終わらすのではなく、実際に動き出し、災害時に向け準備を進めていきたいです。災害時には、地域からも医療機能の維持を求められますので、それに応えられるよう努力していきます」と誓い、閉会した。
→徳洲新聞1266号掲載



