千葉徳洲会病院

千葉徳洲会病院は急性期病棟にPNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を導入した。これは安全で質の高い看護を共に提供することを目的に、2人の看護師がパートナーとなり、対等な立場で、互いの特性を生かし、相互に補完し協力し合う看護提供方式。2017年末に試験的に導入を開始、その後は段階的に取り入れ、今年6月に全6病棟で導入が完了した。

離職率低下や超過勤務低減

千葉病院では2016年9月から、10対1から7対1の看護体制に変更、より質の高い看護提供が求められるようになった。船橋市で救急搬送受け入れ件数が最も多く、現場では素早く的確な判断が必要になる。こうした環境下で仕事することに対し、とくに経験の浅い看護師は不安を抱えることもあり、どのようにサポートするかが課題のひとつになっていた。

そこで、互いが補完し協力し合い、安全で質の高い看護を提供するために、「PNSを導入するなら今」と佐々木悦子・看護部長は決意。この意図として「パートナーシップ・マインドを育て、良い職場環境をつくりたかった」と明かす。パートナーシップ・マインドとは、相手に依存するのではなく、ひとりのプロフェッショナルとして独り立ちし(自立・自助の心)、不十分な部分を補い(与える心)、対象をいろいろな見地から見る(複眼の心)ことを大切にする考えだ。

まず17年末に6B病棟(外科)がPNSを先行導入。小川歩・看護主任(当時は副主任)はPNSを開発した福井大学医学部附属病院看護部で研修を受け、これをもとに病棟内に周知したが、最初はとまどいのほうが多かった。小川主任は「完全に浸透するまで3カ月くらいかかりました」と振り返るも、「今ではペアのほうが安心というスタッフが多く、不安そうに仕事をしていた新人スタッフも笑顔が多くなりました」と効果を実感する。

6B病棟に続き、昨年6月から7A病棟(泌尿器科、耳鼻咽喉(いんこう)科、頭頸部(とうけいぶ)外科)が導入。先行導入の1年半で課題を洗い出せたと同時に、6B病棟から7A病棟にスタッフの異動などもあったため、スムーズな導入となった。その後、今年1月に7B病棟(脳神経外科、消化器内科)、3月に6A病棟(婦人科)、5B病棟(消化器内科、循環器内科)、6月に5A病棟(呼吸器内科、血液内科)と、すべての急性期病棟が導入を果たした。

6A病棟の根石久仁子・看護師長は、ペアを決める時にスタッフからアンケートを募った。「ペア決めは公平性を保ち、意味のある組み合わせにすることが重要だと思います。なるべく性格が異なったり得意分野が違ったりする相手と組んでもらい、良い化学反応が起きることを期待しています」と説明する。

5A病棟の近藤里沙・看護副主任は「経験の浅いスタッフとベテランスタッフの知識の差が大きかったので、PNSは効果的だと感じます。ただし新人は先輩について回るだけでなく、自分から動けるようにならなくてはいけません。今後、お互いに刺激し合って成長できるような関係に発展していけば良いと思います」と期待を寄せる。

PNSの効果測定のために、同院では毎年アンケートを実施。これによると、離職率の低下、超過勤務の低減、インシデント(事故などが発生する恐れのある事態)件数の軽減、仕事への満足度の向上など一定の効果が見て取れる。

佐々木部長は「PNSの導入で、より質の高い看護を提供できるようになってきました。先輩スタッフも後輩に教えることで、知識の定着が図れるようになります。これからもペアで信頼し合い、思いやりをもって続けていけたら良いと思います」と意欲的だ。

→徳洲新聞1242号掲載

 

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