介護系施設
北関東ブロック 認知症研修を開く
徳洲会介護部門北関東ブロックは千葉徳洲会病院で認知症研修を実施した。「高齢者学習療法支援の実際」と題し、同研修で初めて学習療法をテーマに設定。南関東ブロックの施設から参加するスタッフも見られ、多職種約50人が外部講師による講義やロールプレイを通じ学習療法に対する理解を深めた。
南関東ブロックからも参加

学習療法は国の共同研究プロジェクト(文部科学省管轄)から生まれた“認知症の維持・改善”を目的とする非薬物療法。東北大学加齢医学研究所の川島隆太所長、KUMON、介護施設の三者がプロジェクトで実証した理論をもとに確立し、音読や計算、書き取りなどを中心とする専用の教材を用いた学習を、学習者と支援者がコミュニケーションを図りながら行うことで、認知機能やコミュニケーション機能などを司る前頭前野機能の維持・改善を図る。

認知症の予防やBPSD(認知症の周辺症状)の改善などが期待されることから、主に介護現場で注目され、現在、全国1600の施設が導入。ただし、実践するには、同療法の正しい理論と手順を理解した「学習療法実践士」(実践士)の資格を取得しなければならない。
北関東ブロックは年に1回、外部講師を招き午前から夕方まで行う認知症研修を実施。今回、初めて学習療法をテーマにした。地主貴美惠ブロック長(介護老人保健施設〔老健〕千葉徳洲苑看護・介護部長)は「高齢化が進むなか、認知症ケアは今後ますます重要。ユマニチュードやダイバージョナルセラピー、パーソン・センタード・ケアなど、さまざまなケア手法がありますが、そのひとつとして学びたいと思いました」と、理由を説明する。
昨年12月に実施した研修には約50人が参加。なかには南関東ブロックの介護施設職員の姿も見られた。職種も介護福祉士、リハビリテーションセラピスト、管理栄養士、ケアマネジャー、相談員など多岐にわたった。
研修はKUMON学習療法センターの伊藤眞治副代表による講義でスタート。「これからの介護の未来と学習療法の可能性」と題し、学習療法の歴史やシステム、進め方などについて事例を交えながら説明した。伊藤副代表は認知症の維持・改善などに期待を寄せながらも、今後はとくに認知症の予防で重要になることを強調した。
研修の後半は体験型のプログラムを実施。はじめに老健まつど徳洲苑(千葉県)によるデモンストレーションを行い、髙橋祐子・看護・介護部長が2014年から自施設で学習療法に取り組み全職種が実践士の資格を取得していることや、“粋々大学”と称し毎週月~金曜日に入所者さんに実施している様子を説明した。最後に同施設の学習療法委員会メンバーが施設で行っている療法を再現した。
そのうえで参加者は学習者と実践士の役割を交代で務め、学習療法を模擬体験した。終了後、千葉徳洲苑の笠原賢・介護福祉士とシルバーケア松戸(千葉県)の近藤祐子・介護福祉士は声をそろえ「当施設でも実践してみたいと思いました」と興味津々。
特別養護老人ホーム逗子杜の郷(神奈川県)の根岸美鈴・栄養部副主任(管理栄養士)は「学習療法の雰囲気もわかり、参加して良かったです」と振り返った。すでに学習療法を導入している老健かまくら(同)の大石哲広・介護主任(介護福祉士)は「あらためて学習療法の良さを再認識しました。介護の業界で盛り上げていきたいです」と、意欲をさらに高めていた。
地主ブロック長は「私自身、学習療法について詳しく学んだのは初めて。認知機能の改善などはもちろんですが、実践士が傾聴しながら進めていく様子に感銘しました。一つひとつが丁寧で言葉遣いも良く、スタッフのコミュニケーション能力や接遇の向上にもつながると感じました」と、学習療法の可能性を見出していた。
→徳洲新聞1229号掲載