大垣徳洲会病院

大垣徳洲会病院(岐阜県)は11月3日、南海トラフ大規模地震の発生を想定した大垣市北連合自治会との2019年度総合防災訓練を行った。主催は大垣市や同市北連合自治会など。同院のほか地域の避難所に指定されている小・中学校の体育館や会館を会場に、教育機関、消防団、社会福祉協議会など多数の団体の協力の下、避難者や負傷者役の方々などを合わせ総勢約600人が訓練に参加。同院は傷病者の受け入れやトリアージ(緊急度・優先度の選別)、災害対策本部の運用などを中心に防災訓練に取り組んだ。

南海トラフ大規模地震を想定

今回の総合防災訓練では傷病者の受け入れが同院の主な訓練内容だったが、発災から災害対策本部の立ち上げ、その後の対応まで一連の流れも訓練するため、前日の2日午後8時、南海トラフ大規模地震(震度6弱)の発生を想定し、先行して同院は防災訓練を開始。

発災直後に同院4階にある会議室に院内災害対策本部を設置。間瀬隆弘院長が同本部長に就き、災害対策の役割分担など組織体制を構築しながら、BCP(事業継続計画)にのっとり人的被害(患者さんや職員の安否確認)、建物被害、インフラ・ライフラインの状況、医療機器稼働可否、資機材・食料備蓄の確認を指示。被害状況についてEMIS(広域災害救急医療情報システム)への登録などを行った。

各インフラが寸断するなどの被害状況から、地域災害拠点病院の指定を受けている大垣市民病院と松波総合病院のDMAT2隊が翌朝、大垣病院を支援するため同院に入るというシナリオで進行。

3日午前8時30分に同総合防災訓練がスタート。救護班に付き添われた傷病者役の住民が午前9時過ぎ頃から、独歩や車いす、救急車による搬送などで次々と大垣病院に来院してきた。

医師や看護師などで構成される大垣病院DMATチームを中心に、同院スタッフがトリアージエリアの決定から傷病者の受け入れ、トリアージの実施、同院災害対策本部への報告などを実施。この日は快晴だったことから、診療統括の田中嘉隆・脳神経外科医長は熱中症リスクを考慮し、対策本部と相談しながら屋内にトリアージエリアを設けた。赤、黄、緑のタグごとの患者さんの待機・診療(簡易ベッド)スペースを設定、傷病者の情報を集約するホワイトボードなども用意した。

また対策本部に無線で連絡し、この時点で可能な検査を確認。CT(コンピュータ断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像診断)などは実施不可だが、ポータブル(携帯型)のX線撮影装置や血液ガス分析など一部の検査は可能であることが判明した。オペ室もこの時点では使用不可だった。

その頃、4階の対策本部では、随時更新されるライフラインの状況や、医療機器の被害状況と使用の可否、空床などの情報を確認・整理するとともに、各部署から上がってくるそれら情報を記入していくクロノロシート(時系列にまとめた災害対応記録)を作成し、現場からの問い合わせに応答していた。

トリアージ現場では、緊急度の最も高い赤タグと判定された傷病者は担架で簡易ベッドに搬送し、医師が診察、処置を実施。赤タグにはクラッシュ症候群(家屋の倒壊現場などで長時間の圧迫を解除した後に生じるさまざまな症状)、腹腔(ふくくう)内出血、急性心筋梗塞など、黄タグには打撲や低血糖発作、挫創、骨折などの模擬患者が見られた。

午前10時頃に電気が復旧。しかし、すぐにはオペ室やカテーテル室、大型検査装置は使用できない状況のため、たとえば緊急性の高い急性心筋梗塞の患者さんは院外への搬送が適切と判断。

またクラッシュ症候群も迅速な透析治療の必要性があることから搬送が望ましいと判断し、対策本部に搬送とその調整を依頼。対策本部は大垣市民病院、松波総合病院のDMATチームと連携しながら、搬送先との調整などを進めた。来院した全傷病者のトリアージや処置などを終えたところで院内の訓練は終了。ミーティングを開き振り返りや課題の共有を図った。

大垣病院の間瀬院長は「地域の諸機関・団体などと一体となって災害訓練を行うことで、災害発生時にスムーズな連携が期待されます」と訓練の意義をアピール。一方で課題にも言及し「大きな課題のひとつは非常用自家発電に使用する燃料備蓄の問題です。近隣のガソリンスタンドとの協定はすでに締結していますが、院内備蓄だけで数日間持ちこたえる必要があります。また、医薬品や水、食料などの備蓄に関しても、災害拠点病院に倣って確保していきたいと考えています」と力を込め、同院と同じ医療圏内にある大垣市民病院と連携しながら地域の災害医療の充実に貢献していく意向を強調した。

田中医長は「常日頃から医療従事者として災害対応の知識を付けていく必要があります。限られた人数でどれだけのことができるか、今回の訓練を通じて見えてきた課題がありますので、今後改善を図っていきたい」と意気込みを見せた。

また、診療支援統括として訓練に参加した山崎崇薬局長は「傷病者の対応を行っているスタッフが知りたい情報を的確に提供することを心がけました」と振り返る。訓練の企画段階からかかわってきたリハビリテーション科の辻量平主任(理学療法士)、総務課の長橋弘典・課長補佐は「情報収集や指示の出し方のブラッシュアップを図り、対策本部と診療現場ができるだけ共通認識をもって対応にあたれるようになることが目標です」と今後の改善を誓った。

間瀬院長と林克彦副院長は北地区センターで行われた閉会式で挨拶。定期的な訓練実施や地域連携、落ち着いて対応することの大切さなどを呼びかけた。また林副院長は閉会式前に地域住民向けに一次救命処置についての講義も行った。

→徳洲新聞号1219掲載

 

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