千葉西総合病院
千葉西総合病院は地域災害拠点病院の指定を千葉県から受けた。地域災害拠点病院は災害発生時に、傷病者の受け入れや搬出、災害医療チームの派遣機能など災害医療活動の中心的な役割を担う。地域の基幹病院として災害医療体制の強化・充実にも一層貢献していく考えだ。
災害医療でも地域へ貢献

今回の指定で、徳洲会グループの地域災害拠点病院は計8施設に増加。千葉西総合病院は4月に指定を受けた。
同院は2013年に新築移転し、免震構造で屋上にはヘリポートを備えるなどハードに関しては問題なく要件をクリア。有事の際に簡易ベッドとして利用するため、以前からひじかけのないソファをロビーに設置するなど防災を意識した病院運営を心がけてきた。

同院事務部の渡辺和彦・事務次長は「千葉県で震度6弱以上の大規模地震が30年以内に発生する確率は85%という予測が18年に発表されました(地震調査研究推進本部)。これを受けて、地域の急性期中核病院として災害対応でも一層貢献していく姿勢を示すため、指定を受けることにしました」と説明する。
当時、DMAT(国の災害派遣医療チーム)を保有していなかったため、18年12月、東京都立川市にある国立病院機構災害医療センターで実施されたDMAT研修に千葉県からの推薦を受けて参加。現在、同院の医師、看護師など8人が日本DMATの資格を有し、さらに5人がCLDMAT(千葉県内の活動に限られるDMAT)の資格をもつ。BCP(事業継続計画)も策定した。

同院の日本DMATは今年9月の台風15号による被害に対し、千葉県からの要請を受けて出動する機会があった。同月10日から12日にかけて山武市や市原市などで活動。情報収集や被災地の入院患者さんの転院搬送に取り組んだ。このほか、行政が主催する大規模災害訓練に参加するなど活動の幅が広がっている。
同院の日本DMATのひとりである菊池成美・救急看護認定看護師は「指定を受けたことで、発災時には、これまでと異なる役割が求められるようになります。大勢の負傷者へのトリアージ(重症度・緊急度選別)や治療など円滑に実施できるよう備えていくことが課題です」と展望する。

今後は同じ東葛北部医療圏の地域災害拠点病院である松戸市立総合医療センターなどと連携しながら地域を巻き込んだ災害訓練を実施していきたい考えだ。
→徳洲新聞号1216掲載