徳洲会グループ

国内外で災害医療に取り組むNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、各地で起きた大型台風被害の支援に奔走した。9月8日夜から翌日にかけ台風15号、10月12日夕方に台風19号がそれぞれ関東地方を直撃。広域で河川堤防が決壊し、家屋への浸水や停電、断水など被害が相次いだ。多くの方々が避難所生活を余儀なくされるなか、TMATは各地で精力的に活動、その軌跡を振り返る。

回顧この一年 ③

台風15号では徳洲会グループ病院・介護施設の停電被害は一時的なものだったが、そのなかで四街道徳洲会病院(千葉県)は9月9日午後2時前まで停電、復旧後はすぐに地域の方々に向け、携帯電話の充電場所を設置し、シャワーを無料で提供した。また、周辺の主要医療機関が機能停止したため、医療機関・介護施設から21人の搬送を受け入れ、停電復旧から1・5間で合計44人の入院を受け入れた。

10日昼頃、千葉県富里市にある中沢病院から一般社団法人徳洲会(社徳)とTMATに対し、搬送支援の要請が入った。同院は療養型の病院で約280人が入院、停電の影響で病院機能の維持が困難となり、行政などに支援要請したものの、支援の見とおしが立っていない状況だった。要請に対し社徳とTMATは協議の結果、支援を開始することを決定。

午後7時頃、千葉県内にある千葉徳洲会病院、鎌ケ谷総合病院、成田富里徳洲会病院、四街道病院とAMAT(全日本病院医療支援班)が協力し、これら病院を含む近隣の医療機関に、中沢病院から41人の転院搬送を実施。このうち成田富里病院では11人、鎌ケ谷病院で5人、千葉病院で3人を受け入れた。

翌11日、前日の徳洲会4病院に、千葉西総合病院、館山病院(千葉県)、武蔵野徳洲会病院(東京都)、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、湘南藤沢徳洲会病院(同)を加えた9病院が協力しドクターカーを出動、中沢病院から近隣の医療機関に69人を転院搬送した。このうち成田富里病院では行政の許可を得て空床フロアを開放し、50人の患者さんを受け入れた。

一方、TMATは14日から南房総エリアの支援を開始。館山病院にはライフライン被害はなかったものの、多くの職員が被災した。同エリアにある安房地域医療センターは通常の2~3倍の救急を受け入れ、症状が落ち着いた患者さんの後方受け入れに難航していた。そのため館山病院は同センターの入院患者さん受け入れを決定、TMATはその支援を行った。また、TMATは社徳に要請し、同日中に看護師応援の手配も行った。

館山病院では18日までに計12人の転院搬送を受け入れ、同院の入院数は一時200人を超えた(台風被害前の平均入院数は約170人)。また、15日には徳洲会グループからの応援で、羽生総合病院(埼玉県)3人、古河総合病院(茨城県)1人、千葉西病院2人、千葉病院1人の合計7人の看護師が館山病院で勤務をスタート。疲弊した職員が交代で休みを取ったり、被災した自宅の復旧に回ったりできるようになった。

徳洲会グループからの看護師派遣は21日で終了。また、TMATは19日、館山病院との協議と安房地域災害医療対策会議での方針を受け、支援活動の終了を決定した。

→徳洲新聞号1215掲載