湘南鎌倉総合病院

地域の脳卒中治療底上げへ尽力

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)脳卒中センターは7月日、県内で「脳卒中治療研究会大磯セミナー2019」を開催した。湘南エリアを中心に関東圏の医療機関に勤務する医師や看護師、コメディカル、事務職員ら約200人が参加。演題に上る口頭発表を行った。最後に同セミナー代表の森貴久・湘南鎌倉病院脳卒中センター長兼脳卒中診療科部長が講演し、初開催から 参加者に謝意を示した。

20回目の今回も、湘南地域を中心に徳洲会グループ内外の医療機関などから多職種約200人が参加。発表演題数は75に上るなど盛況だった。このうち湘南鎌倉病院は22演題を発表。なかでも森センター長は6演題と精力的に行い、リアルタイムで血糖値曲線を可視化できるシステム『FreeStyleリブレ』が有用だった2症例を報告したり、スキャンの回数を減らすなどして初期型320列CT(コンピュータ断層撮影装置)でも、Thrombectomy(カテーテルで脳血管内の血栓を摘出する治療法)を行うための閉塞部位と側副血行路発達程度を判断できる“骨付4DCTA画像”を短時間のうちに作成する方法を紹介したりした。

CAS(頚けい動脈ステント留置術)後に過灌流症候群を予防する手法として、極高度狭窄さく病変にステント狭窄を意図的に残す方法の解説、昨年に自院で対応した脳卒中患者数や治療件数などの報告も行った。

同院からは小森美佳看護師、杉島梨花看護師、田中日香里看護師、宮田祐一・薬剤部副主任(薬剤師)、岩崎睦薬剤師、須賀明輝薬剤師、清水利光・放射線科副技師長(診療放射線技師)、松井悠起・放射線科副主任(診療放射線技師)、熊澤真理・臨床検査技師、保坂侑奈リハビリテーション科主任(理学療法士=PT)、大沼佑子・栄養管理センター副主任(管理栄養士)、秋元玲奈・管理栄養士、長橋勇輝・臨床工学技士、塩野未怜・医療ソーシャルワーカー(MSW)、千葉のぞみ医局秘書副主任(医師事務作業補助者)が発表した。

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の溝上康治・脳血管外科部長は、症候性左内頚動脈閉塞に対する血行再建術を行った症例や昨年1年間の自院の脳卒中診療実績を報告したほか、自院で行っている塞栓性内頚動脈閉塞に対するThrombectomyの治療戦略などを紹介した。

同院のリハビリテーション室副主任(PT)角田賢史は「神経症状の増悪を認め緊急で血栓回収術を行ったアテローム血栓性脳梗塞の1例」を報告した。茅ヶ崎徳洲会病院(同)の曽根祥子・看護師長は自院の紹介、瀬口峻PTは高次脳機能障害に多職種で取り組んでいる様子を説明した。

連絡先から花束贈呈

最後に、森センター長が「脳梗塞治療35年、大磯セミナー20年の歩み」と題し講演。医師になった1980年代半ばから現在に至るまでの脳梗塞治療の変化や、自身の取り組みを紹介。

90年代までは脳梗塞の治療法がほとんどなく、当時勤務していた高知県の国立大学病院では校費負担制度を活用して心臓領域で使用するステントやカテーテルを用いた世界初の頭蓋内ステント治療を行ったり、2000年に湘南鎌倉病院に入職後、脳卒中の根本的な治療として血栓回収療法に着手し、04年に1例目、05年に2例目の回収に成功したりしたエピソードなどを披露した。

同院に入職した当時、院内はもちろん地域に脳卒中の診療に関するスペシャリストが不在だったことから、地域全体の底上げを図る必要性を実感。リハビリに力を入れている病院と連携を開始するなど、他施設を巻き込んでいった。自院のレベルアップのため00年に第1回大磯セミナーを開催。第2回までは院内勉強会だったが、第3回から地域の連携とレベルアップを目指し、医療関係者の誰もが参加できるスタイルとした。

森センター長は「地域で治療方針を共有し、同じ方向を向くことで、患者さんを安心させ再発予防までもが良い結果を得ることができます」と強調。最後に「当セミナーも20年目を迎え、今回でひと区切りつけることにしました」と言い、「今後も能力のすべてを尽くして患者さんの力になりたい」と締めくくった。講演後、連携先の病院から花束が贈られると、参加者は大きな拍手で森センター長をねぎらった。

→徳洲新聞1196号掲載

 

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