葉山ハートセンター
葉山ハートセンター(神奈川県)は地域の介護施設などと連携し、インフルエンザや誤嚥(ごえん)性肺炎、尿路感染症など感染症の予防に努めている。感染症が原因で入退院を繰り返す介護施設の入所者さんが少なくなかったことから、同センターは看護部が中心となり、施設を訪問して感染対策の具体策を指導したり、同センターで感染対策の勉強会を開いたりし、地域の感染対策のレベルアップに尽力している。
施設を訪問し直接アドバイスも
葉山ハートセンターは2017年6月に現在の田中江里院長が就任。心臓の専門病院というそれまでのイメージにとらわれず、より地域に密着し、地域医療に貢献していく病院を目指す方針を打ち出した。その一環で、救急医療を強化することと並んで取り組んだのが、周辺に介護施設が多いという地域特性をふまえ、内科系の患者さんの入院を積極的に受け入れるということだった。
同センターの長嶋亮子・看護部長は「総合内科的に幅広い患者さんの受け入れをスタートしました。すると、地域の介護施設から誤嚥性肺炎や尿路感染症、インフルエンザといった感染症で入院してくるご高齢の患者さんが多いことに気付きました」と振り返る。
続けて「そうした入院患者さんのなかには、治癒後に施設に戻り、再び感染症を発症して、入退院を繰り返す方もいました。このままではいけない、何とかしようと考えましたが、地域の介護施設が、どのようにして清潔な環境を保ち、そのためにどのような教育を行っているか知りませんでした。このため、まずは感染症による入院患者さんの多い施設を訪ね、現状確認のためのヒアリングを行うことから始めました」と話す。
介護施設の入所者さんが入院する際は、施設のスタッフも付き添いが必要となる。限られたマンパワーのなかでスタッフが減ると、他のスタッフにかかる負担が大きくなり、ひいては入所者さんへの介護の質の低下につながる恐れがある。
予防・対策できる感染症であれば、未然に防ぐに越したことはない。入所者さんの健康維持に寄与するだけでなく、集団感染の芽を摘むことになり、施設スタッフの業務負担の軽減、さらには入院医療費の発生回避による医療保険財政の維持にも貢献することができるためだ。
「はじめは、どのような反応があるか不安もありましたが、施設の方からは『施設内で勉強会を開いてはいたのですが、どうしてよいか、正直わかりませんでした。病院に相談できるとは思っていなかったので助かります』と言っていただきました」(長嶋・看護部長)
こうして地域の介護施設とともにスタートした感染対策。スタート当時、冬場だったことから、はじめはインフルエンザ対策をテーマに実施。同じように入院の多い施設を中心に、施設長や介護士、ケアマネジャーなどを同センターに招いて勉強会を開催した。手指衛生の方法や防護具(マスク、手袋、ガウン、ゴーグルなど)の使い方など基本的な事項から、感染症発生時の管理者の対応、職員が気を付けるべき事柄などをレクチャー。
→徳洲新聞1194号掲載



