榛原総合病院

榛原総合病院(静岡県)の長野清美・看護副主任と松栄望美看護師は、静岡県看護協会の主催の「第2回看護職の心に残る看取りエピソード集」で優秀賞を受賞した。6月28日に静岡市内で授与式が行われ、2人は壇上で賞状などを受け取った。長野・看護副主任は「文章にまとめるなかで、学生時代に目指していた“寄り添う看護”を思い出しました。初心を忘れず今後も頑張ります」、松栄看護師は「自分たちの看護が認められたようで嬉しいです」と満面の笑み。

「美味しい魚が食べたいなー」(長野・看護副主任)

胃癌、肝転移末期の状態で入院していたB氏、63歳男性。家族とは疎遠で独り暮らしだった。

受け持ち看護師として、Bさんの気持ちを伺った時「自分はこの病院で最期を迎えるつもりで入院時は身辺整理してきた」など、病気に対する思いや考えを知った。私は「Bさんらしく最期を迎えられるよう支え続けるので遠慮せず何でも希望を言って欲しい」と伝えた。そんなある日、リハビリ担当者と楽しそうに会話をしている所に遭遇し「外出をしたい」というBさんの希望を知った。

「美味しい魚が食べたいなー、うなぎ、かつどん、お酒も呑みたいな―」と。腹水も貯留し食事量が減っており全身状態が徐々に悪化傾向の状況にあった。リハビリ担当者、ケースワーカー、受け持ち看護師と連携を取りBさんの希望が叶えられるよう話し合いを進めて行った。

主治医に外出とそして飲酒の許可を得た。主治医から「体力的に最後の外出になる可能性があるので望むことは叶えてやって欲しい」と言われた。外出と多少の飲酒を許可されたことを伝えるとBさんは笑顔でとても喜んでくれた。

メニューを見ながらBさんは。「生ビールを飲もうかな、サバの押し寿司もうまいんだよ、焼き魚も食べたいな―」などと楽しそうだった。生ビールを一口飲んだBさんは「おいしいなー」と一言。日本酒も一口飲んだ後食事がくるで横になった。その後食べたかった焼き魚を一口食べ再び横になった。結局Bさんは少し口にしただけであったが皆で食事が出来たことをとても喜ばれていた。病院への帰りは希望で海岸にも寄った。たばこを吸いながら好きな缶コーヒーを飲み、「気持ちいいなー、寿命が延びた気がする、、、」と。

徐々に最期の時が迫ってきていることでBさんは不安な気持ちを口にすることもあった。苦痛なく最期を迎えたいというBさんの希望に添うよう苦痛の緩和を最大限に医師と相談しそして穏やかな最期を迎えた。

「この病院に来て良かった」とBさんが言ってくれたことを思い出す。今後も看護師として患者さんの意思を尊重し人としての尊厳を護り最後の瞬間まで心の平安を支えて行きたい。

→徳洲新聞1193号掲載