葉山ハートセンター

葉山ハートセンター(神奈川県)は訪問診療に注力する秋谷潮かぜ診療所とともに、看取りをテーマに横須賀市西地区、逗子市、葉山町の医療・介護職員向け勉強会を開催した。96人の参加者が集まり、会場となった同センターのホールは熱気に包まれた。
はじめに導入として同診療所の下川広治理事長が地域の看取りの現状や今後の見とおしなどを紹介。「できるだけ多くの方々に尊厳ある最期を迎えていただきたいというのが皆の願いです。そのための受け皿となる病院、在宅、施設という3つの立場から、本日は講演をしていただきます」とプログラムを紹介した。
まず同センターの田中江里院長が「病院としての看取り」と題して講演。ステージⅣで手術適応のない終末期の咽頭(いんとう)がん患者さんの症例に言及、疼痛(とうつう)管理やせん妄管理の処置や経過を説明した。田中院長は「葉山町にひとつしかない病院として在宅医療のバックベッドの機能を提供し、地域の終末期医療を支えていきたい」と意気込みを語った。
次にグループホームほっとハウス星ヶ谷の原口洋子施設長が登壇し、研修会の実施や指針の策定など看取りへの取り組みや、食事や入浴など日頃の介護の様子などを発表。最後に同診療所の西村京子院長が登壇、「医療者や介護者といった周囲の方々が、心安らかに旅立てるように場をつくることが大切です」などと呼びかけた。
講演終了後は参加者同士でグループをつくり、①医療・介護のプロとして多くの方々に尊厳ある最期を迎えていただくために何ができるか、②仮に、あなたが10年後に末期がんを宣告されたとして、この地で最期を迎えるなら、どこでどのような最期を迎えたいか―この2つをテーマにディスカッションを行った。
同センターの西口翔・内科部長は「看取りには病院、在宅、施設とさまざまな選択肢があります。地域の医療・介護関係者と顔の見える関係を構築し、貢献していきたい」。
→徳洲新聞1169号掲載