徳洲会グループ
2020年4月、徳洲会グループにとって念願である大学が産声を上げる。徳洲会は30年以上前から看護大学の設立を構想していたが、18年10月、一般財団法人湘南鎌倉医療大学設立準備財団は、文部科学省に4年制の湘南鎌倉医療大学(仮称)の設置および学校法人徳洲会(同)設立の認可申請を行った。
同大は開学時点で看護学部看護学科(同)を開設し、質の高い看護職を育成、グループ内外に輩出していく方針だ。卒業要件を満たすことで、看護師と保健師の国家試験受験資格を取得(保健師は選択制)できる。1学年の定員は100人で男女共学。18年12月に校舎建物の建設工事に着工、竣工は20年2月の予定だ。
同大は“生命だけは平等だ”の徳洲会の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療・ケアを受けられる社会」の構築を目指し、日々研鑽(けんさん)する医療人を育成することを建学の精神として掲げる。神奈川県鎌倉市にある湘南モノレール「富士見町」駅から徒歩6分の立地に建設。約7300㎡の敷地に、延床面積約8500㎡の4階建ての校舎を建てる。講義室や実習室、演習室、研究室、350席の大講義室、体育館を設ける計画だ。
設計のテーマは質素でありながら、周囲の環境を豊かにする――。質素というのは、学生が情報にあふれている社会に出る前に、勉学に集中できる環境を提供するという意味だ。建築もあまり華美にならず、建物のシルエット、光と影、緑など美しく変わらずあるものを大切にする。さらに建物のデザインは外観にフィンという斜めの壁を用い、規律正しく、活動的で自由な様子を表現。大学が町の誇りとなり、町の風景になることをコンセプトにしている。
古都・鎌倉は名所旧跡が多数あり緑地に恵まれた文化の薫り高いエリア。一方、湘南エリアは多くの海水浴場があり、夏季を中心にサーフィンなどマリンスポーツでにぎわう。横浜や東京へのアクセスも良い。
大学の周辺地域には、徳洲会グループが神奈川県下に展開する湘南鎌倉総合病院など病院や介護施設が多数あり、これら病院・施設で臨地実習を行う。
グループワークや双方向授業を積極的に取り入れる。学生に課題を発見させ、ひとりで考え、ふたりで対話し、教室全体での討論を通じ、自分で最適な解を発見する能力の養成に力を入れる。
1年次から4年次にかけ、講義や演習で得た知識・技術など看護実践能力を修得できるよう、学年ごとに段階的に実習科目を配置する。
地域に出た看護師の業務を理解し、より広い視野を得るために、専門基礎科目のひとつとして「公衆衛生看護学概論」を必修化。さらに専門科目として島嶼(とうしょ)看護の科目も用意する。島嶼看護の知識は少子高齢化、人口減社会の日本では、さまざまな地域で応用可能だ。
また、同大は学生を支援するため奨学金制度を設ける予定。条件など詳細は現在、検討中だ。
同財団の鈴木隆夫理事長(一般社団法人徳洲会理事長)は「働き方改革が始まろうとしている現在、医療界で一番ひっ迫しているのは看護師です。私たちは患者さんのために一生懸命心を砕き、手を差し伸べられる看護師を育てなければなりません。将来的には大学院で修士課程や博士課程を学べるようにしていきます。また、他の学部も開設できるように頑張ります」と意気込みを見せる。
学長に就任予定の荒賀直子・同大設置準備室長は、「“考える力”を養いたい。自分で考え工夫することのできる看護師です。目の前の事象に対応するだけでなく、問題の原因をどうやったら取り除くことができるかを考えられる看護師に育ってほしい。このため対話や討論など双方向の授業スタイルを取り入れていきます」と展望を語る。
看護知識・技術に加え、人としてのマナーや常識をもって他人に接することのできる人材を育てる。医療職はとくに高い倫理性が求められるため、こうした面でも社会の期待に応えられる人材を輩出していく。目標は深い知識や高い技術を身に付けた品格ある看護師だ。
開校を目指す20年は、東京オリンピック・パラリンピック開催年。一期生にとって思い出深い年になることは間違いない。
→徳洲新聞1166号掲載

