徳洲会グループ

第45回日本集中治療医学会学術集会が3日間、千葉県内で行われた。徳洲会は36演題を発表(ポスター発表含む)、一般演題の口演とポスターでそれぞれ優秀演題も選ばれた。

シンポジウムでは湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の小室哲也・集中治療部医長が「敗血症診療は新しい定義(SEPSIS-3)でどう変わったか?」というタイトルのセッションで「当院ICUに入室した下部消化管穿孔(せんこう)患者とSEPSIS-3 定義との関連」、「一歩進んだ人材育成」のセッションで「研修医は何を考えてICUに研修に来るのか?―初期研修医に対する面談の結果から―」をテーマにそれぞれ発表した。

前者では、①呼吸数≧22/分、②意識レベルの低下、③収縮期血圧100mmHg――のうち2つ以上、陽性の場合に敗血症を疑うqSOFAを検証。下部消化管穿孔患者さんでは、qSOFAを満たさなくても敗血症を合併しているケースがあり、「腹部所見なども加味した総合的な判断で早期介入に臨む必要があると考えられます」と結論付けた。

後者では、同院の集中治療部をローテーションしてきた初期研修医15人の志望動機や研修修了後の進路などを調査。進路に救急科や麻酔科を考えているから集中治療部のローテーションを志望するわけではなく、「離島・へき地医療研修を乗りきるため、またはうまく対応できなかった反省から全身管理や重症患者管理を学びたい」などの理由があることも挙げ、できるだけ門戸を広げた研修を行うことが重要であると訴えた。

また、小室医長は教育セミナーでも講演した。

パネルディスカッションでは、「一歩進んだRRS」のセッションで中部徳洲会病院(沖縄県)の西島功・血管外科部長が「NEWS-RRSは予期せぬ院内心停止を減少させる~MEWS-RRSからの移行~」をテーマに発表。「一歩進んだ凝固線溶異常に対する治療戦略」のセッションで吹田徳洲会病院(大阪府)の公文啓二・副院長兼集中治療センター長が「高度のアンチトロンビン(ATⅢ)活性低下を呈した症例の検討」と題して発表した。

西島部長の発表では、RRS(迅速対応システム)として2017年4月に導入したNEWS(英国国営医療制度で作成された早期警戒スコア)の有効性を考察。同院では病棟看護師が電子カルテにバイタルサイン(生命兆候)を入力し、設定しておいた警戒域を超えると自動的に警告が発動する。「NEWSを用いることでRRSの至適起動件数が得られ、予期せぬ院内心停止が有意に減少しました」と強調した。

公文副院長の発表では、ATⅢ活性50%以下の高度低下17症例を検討。高度低下例ではATⅢ活性とラクテート(乳酸)には負の有意相関があると推定される。血管内皮グリコカリックス(細胞表皮を覆う糖タンパク質や多糖類)の菲薄(ひはく)化(薄くなっていく)にともない多大な容量負荷を要したこと、遺伝子組み換えアンチトロンビン補充が有効であったことなどから、血管内皮グリコカリックスの菲薄化を念頭に置いた全身管理が必要であるとまとめた。

委員会企画では、同学会のGlobal Sepsis Alliance委員会の委員でもある岸和田徳洲会病院(大阪府)の薬師寺泰匡・救命救急センター医長が「敗血症って何?予防と早期発見」をテーマに一般の方々に向けて講演した。「敗血症は臓器不全が進行する恐ろしい病気ですが、予防と早期発見により、臓器不全となる前に対応ができる可能性もあります」と強調し、手洗いやワクチン接種による感染予防の大切さを訴えた。

口演では徳洲会から14演題の発表があった。このうち中部徳洲会病院の天久真奈帆・集中治療部看護師の「RRS(迅速対応システム)を起動する、NEWSの至適スコアに関する検討」が優秀演題に選ばれた。NEWSに変更した当初、警戒域を7点以上に設定したところ、過剰な起動になり設定を見直した。点数ごとに検証した結果、「当院では11点以上が至適点数であり、院内心停止率が減少しました」と報告した。

ポスターでは徳洲会から16演題の発表があった。このうち福岡徳洲会病院の松尾竜志・理学療法士の「ICU多職種チーム回診の回数増加がリハビリテーションに及ぼす効果」が優秀ポスターに選ばれた。チーム回診の日数増加により、継続的な情報共有が可能になり、リハビリテーションで離床の開始を早めることが可能になったと推測、在院日数には短縮傾向が見られた。「ICU(集中治療室)退室後も各病棟での積極的な多職種チームの情報共有や介入が必要だと考えます」とまとめた。


→徳洲新聞1131号掲載