徳洲会グループ

在宅医療・介護が進むなか、徳洲会グループは訪問看護の充実を図っている。国が評価する機能強化型の訪問看護ステーション(訪看ST)を拡充し、24時間対応体制の構築や医療ニーズの高い患者さんの在宅サポート、自宅での看取りなどを実践している。

機能強化型訪看STは、在宅医療の推進を目的に2014年に新設された訪看STの類型。24時間対応や常勤看護職員数、超重症児の対応人数、年間の看取り件数など、定められた要件を満たし、当該行政事務所に届け出れば、機能強化型となる。「1」と「2」があり、「1」のほうが要件は厳しい。

徳洲会グループでは愛心訪看ST(神奈川県)が制度創設時にいち早く「1」を届出。現在、登録患者数は160人で、月間の訪問看護件数は800~900に上る。「緩和ケア認定看護師が在籍しており、末期のがん患者さんに対応したり、看取り後に家族に行うグリーフケア(死別の悲しみから立ち直るため、周囲が寄り添うサポート)に注力したりしています」(野口薫所長)。

15年には茅ヶ崎駅前訪看ST(神奈川県)が「1」を届出。年々、人員を強化し、現在は看護師が常勤10人、リハビリテーションセラピストが常勤7人と非常勤1人という体制で、月間約1400件の訪問看護を実施している。登録患者さんは300人を超え、うち重症患者さんは40人超。なかには悪性リンパ腫の治療で末梢(まっしょう)血の幹細胞移植を行った透析患者さんもいる。毎日、注射による抗生剤の投与、週3日の透析治療が必要で、主に茅ヶ崎徳洲会病院(同)と連携しながらサポート。

家族からは「以前は自宅から離れた大学病院まで通わなければなりませんでした。何とか自宅で世話をしたいと思っていたなか、徳洲会病院を紹介してくださり、徳洲会もすぐに対応してくださいました。精神的に楽になりました」といった声が聞かれる。茅ヶ崎病院地域医療支援室の桐澤美香・看護師長も訪看STの役割のひとつに「家族のサポート」を掲げる。

看取りは、主に在宅緩和ケアを手がける「ひきのクリニック」と連携し対応。同院の引野雅子院長は「終末期の前から患者さんにかかわる訪看STは医療的にも生活をサポートする面でも大きい」と指摘し、「いろいろな業者がかかわると混乱する患者さんやご家族もいます。その点、茅ヶ崎駅前訪看STは病院や介護事業所も同じ徳洲会で対応できるため心強い」と信頼を寄せる。

介護事業所とも連携。つるみね介護センター(同)の田代健治ケアマネジャーは同訪看STの強みに対応力を挙げる。

その後、宇治徳洲会訪看ST(京都府)、千葉西訪看STが「2」を届出。宇治訪看STは宇治徳洲会病院(同)と連携し実現した。「いずれは機能強化型1を目指しています」(唄野清美所長)。

今年4月の診療報酬改今年4月の診療報酬改定で「機能強化型3」が創設される。茅ヶ崎駅前訪看STの鈴木恵子所長は「グループ全体でさらに機能強化型が増えていくと思います」。

→徳洲新聞1125号掲載