中部徳洲会病院

沖縄県初の成人腹部ヘルニア全般に対応

中部徳洲会病院(沖縄県)は腹部総合ヘルニアセンターを開設した。鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアをはじめ、成人に発症する腹部のヘルニア全般に対応する。沖縄県では初。昨年9月に着任した井谷史嗣センター長による取り組みで、すでに開腹や腹腔鏡による手術を実施。1月には県下初のロボット支援鼠径ヘルニア手術(公費診療)も行った。井谷センター長は“精密で安全な低侵襲医療の提供”を目指すとともに、後進育成にも努め、県全体のヘルニア診療レベル向上に貢献する意向だ。

ロボット支援鼠径ヘルニア手術も県下初

ヘルニアは体内組織の弱い部分や臓器の隙間から、内臓の一部、腸、脂肪などが突出する病気の総称。一般的に足の付け根(鼠径部)に生じる「鼠径ヘルニア」、背骨や胸椎、腰椎などで起こる「椎間板ヘルニア」が知られているが、それ以外にも「食道裂孔ヘルニア」や「会陰ヘルニア」など、さまざまな種類がある。いわゆる、“でべそ”も腸や脂肪が臍部にはみ出た状態で「臍ヘルニア」と呼ばれる。

原因は加齢や肥満、妊娠などが挙げられるが、過去に受けた腹部手術の部位が弱くなって起こるケース(腹部瘢痕ヘルニア)は、術後20%程度まで発生するとも言われている。症状はヘルニアの位置などによって「しこりやふくらみが見られる」、「痛みを感じる」などさまざま。無症状の場合もある。

また、緊急性を要しないケースが多いものの、たとえば腸が入り込んで戻らなくなった場合、絞扼(組織や血管などが圧迫される状態)となり血流が悪化、壊死して穴が開き腹膜炎を来し緊急手術となることもある。治療法は手術のみ。薬物療法などではヘルニアを根本的に治すことはできない。

井谷センター長は、昨年9月に中部徳洲会病院に着任後、体制を整え成人の腹部ヘルニア全般を対象とするヘルニアセンターを開設。「腹部のヘルニアは種類が多く、鼠径はもちろん、食道裂孔ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなども患者数は少なくありません」と指摘し、「とくに鼠径ヘルニアはコモンディジーズ(日常的に見かける疾患)ですが、きちんと治療するには一定程度の知識と技術が必要であり、外科のなかでも大切な分野のひとつと考えています」と説明する。

これまで手がけた腹部ヘルニア手術は1,000例を超え、腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術も得意分野のひとつに掲げる。

沖縄県下に成人の腹部へルニア全般に対応するヘルニアセンターはなく、同センターが初。消化器外科の鹿川大二郎医長が副センター長を務め、外科の医師が協力する体制で、内視鏡手術を中心に安全かつ低侵襲な診療を心がける。井谷センター長の豊富な経験を生かし、一般的な症例であれば鼠径ヘルニアは片側1時間程度、食道裂孔ヘルニアは2時間程度で手術を実施。井谷センター長と鹿川・副センター長は難易度の高い症例を中心に執刀し、比較的低いケースでは若手の外科医師が執刀、そばで井谷センター長らが指導するなど後進育成にも余念がない。

→徳洲新聞1528号掲載

 

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