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遠隔・自動手術が実用化

囲碁のトッププロ棋士にAI(人工知能)が勝利――。AIブームの端緒のひとつとなった出来事だ。それも、かれこれ15年以上前のこと。そう、今は2030年代も半ばの世の中だ。ブームは冷めたが、多くの技術が日常に溶け込んだ。

医療現場の光景も大きく変わった。フルオートメーション手術(完全自動手術)の夢が叶ったのだ。医療×ロボット×AIが生み出した“未来医療”の究極形のひとつと言える。

手術ロボットメーカーは膨大な手術動画を収集しAIで解析。最も安全で成績良好な術式を基本とし、患者さんごとに異なる臓器・組織の癒着や高難度症例などに臨機応変に対応するため、仮想空間で1万台の手術ロボットを並列し、膨大なシミュレーションを実行。数万年分の時間を超高速で早送りして学習させ、自動手術用のアルゴリズムを組成、治験によって安全性・有効性を確認した。

自動手術に先駆けて実用段階に突入していたのが、セキュリティを確保した超低遅延の閉域網による遠隔手術だ。ひと昔前の遠隔診療と言えば、ビデオ通話を用いた診察を主に指すが、この時代は手術の遠隔施行も認められている。離島やへき地など専門医が少ない地域の病院に手術ロボットを置き、それを都市部の専門医が遠隔操作して手術を行うというものだ。

新たなフェーズに移行しても、トラブル対応などのために医師や臨床工学技士らが患者さんのそばにいる。また患者さんに寄り添い、支えとなる看護師の存在など医療者の役割は重要だ。

→徳洲新聞1524号掲載