徳洲会グループ
第30回日本災害医学会で発表
第30回日本災害医学会総会・学術集会記念大会が3月6日から3日間、名古屋市で開かれた。テーマは「海とともに生きる! 伊勢湾台風復興の地で災害のこれまでとこれからを考える」。徳洲会グループとNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は合計17演題を発表した。指定演題プログラムを中心に紹介する。
地域型BCPの策定を
「災害のこれまでとこれからを考える~BCP研修はどこへ行く?~」をテーマにしたパネルディスカッションでは、札幌東徳洲会病院の合田祥悟・救急集中治療センター医長が登壇した。テーマは「『機関型BCP』から『連携型BCP』への拡張」。
BCPは、災害など緊急時に組織のダメージを最小限にとどめ、事業の継続や早期復旧を図るための計画。医療では、かつて災害拠点病院を中心に策定が求められていたが、昨今は災害拠点病院以外の医療機関や介護施設・事業所に対しても策定が推奨されている。
合田医長は、こうした単施設でのBCP策定は広がっているものの、北海道全域に及ぶ大規模停電(ブラックアウト)で、大多数の医療機関が機能低下した北海道胆振東部地震(2018年)を例に、限界があることを指摘。24年に発生した能登半島地震でも、高齢者・福祉施設の受け入れなどに関する問題が明らかになったことも示した。
こうした問題を解決する糸口として、自院を含む札幌市東区の急性期医療病院5施設(札幌東病院、勤医協中央病院、札幌禎心会病院、天使病院、東苗穂病院)で、札幌市医師会東区支部を中心に組織化した「札幌市東区支部地域連携BCP策定協議会」(HBC5)の取り組みを紹介。
定期的に会合を開いて各病院が抱える災害リスクや情報共有のあり方などを議論し、地域レベルでBCPを策定したことを説明。それに基づいて実施している災害訓練の様子も示した。
合田医長は、平時は各医療機関が個々で活動しながらも、ネットワーク化して緊急時には組織化するDMATの例を挙げ、「BCPも同様ではないでしょうか」と指摘。急性期病院に限らず、療養病院や介護施設、在宅関係の事業所なども、それぞれ地域で組織化し、それらを連携させていくことで日頃の関係性が強化、発災時の対応力向上に結び付く可能性を示唆した。
最後に「当地域でも、HBC5だけでなく、いろいろなところに広げて、“地域型BCP”を策定していきたいです」と意欲を見せた。
他の演題発表は次のとおり。
【口演】▼山﨑藍・札幌東病院救急センター救急救命士「災害時における病院救急救命士の有用性」▼古田宏・岸和田徳洲会病院(大阪府)リハビリテーション科副室長(理学療法士)「災害発生時のスマートメーター活用による通電状況の把握について」、「電気設備故障による断水対応の経験」▼野口幸洋TMAT事務局長「避難所における要援護者(高齢者)支援の重要性と課題」、「令和6年9月能登半島豪雨災害活動報告」【ポスター】▼山城美羽・札幌東病院研修医「研修医向けアクションカードの取り組み」▼平山傑・札幌徳洲会病院副院長兼救急科部長「スプレッドシートはもう不要! Notionを使った患者搬送管理」▼渡會輝美・新庄徳洲会病院(山形県)看護師「一般医療機関の自然災害による被害や影響に関する文献調査」▼阿部美咲・千葉西総合病院看護主任「災害時における他機関連携訓練」▼野口TMAT事務局長「TMATの活動から能登半島地震を振り返る」▼村上歩紀・宇治徳洲会病院(京都府)看護師「令和6年9月能登半島豪雨における健康被害に関する聞き取り調査の実施」▼鍜冶有登・岸和田病院救命救急センター長「南海トラフ地震臨時情報発表時のライフセーバーの組織的行動」▼久保山貴史・福岡病院看護師「能登半島地震で実施した避難所のゾーンニング活動についての報告」▼内田愛佳・福岡病院看護師「長期TMAT活動における避難者記録の統一化に関する取り組み」▼浅野京香・徳之島徳洲会病院(鹿児島県)看護師「災害医療チームとしてのトライアスロン医療班での経験」
→徳洲新聞1484号掲載

