札幌徳洲会病院

根治性と整容性を両立する低侵襲治療

札幌徳洲会病院は、早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)を開始した。これは経皮的に病変部位にニードル(針)を挿入し、ラジオ波電流によって腫瘍を凝固壊死させる局所療法。昨年12月6日に1例目の治療を行い、同日中に2例目も施行し、いずれも奏功。従来の乳房温存手術と同等の根治性をもつ一方、低侵襲で患者さんの身体への負担が小さく、高い整容性を実現できるのがRFAのメリットだ。徳洲会グループでは湘南鎌倉総合病院(神奈川県)に次ぎ2施設目、全国では大学病院やがんセンターを中心に100施設(2月14日時点)が取り組んでいる。先行して取り組みを開始した湘南鎌倉病院と連携することで、新規治療の安全かつ円滑な導入につながった。

北海道では4施設のみ実施

乳がんに罹患する患者さんは年々増加しており、2020年には約9万2,000人が乳がんと診断されている(国立がん研究センター・がん情報サービス)。大腸がんや肺がんを上回り最も多い。一方、乳がん検診の受診率向上などによって、早期乳がんの発見機会も増えている。早期乳がんに対する治療は、乳房部分切除術(乳房温存手術)、または乳房切除術が標準治療。

札幌病院でRFA術者を務める長尾知哉・外科・乳腺外科部長は「文化元(1804)年に華岡青洲が、世界で初めて全身麻酔下に乳がんの摘出手術に成功して以来、令和の今日まで、早期乳がんであっても治療法は、しこりを摘出する切除術が標準治療です。しかし、傷痕が残ることや乳房に変形が生じることもあり、患者さんに負担の少ない治療法の開発が長年の課題でした。こうしたなか、開発されたのが乳がんに対するRFAです」と説明する。

RFAは低侵襲な“切らない乳がん治療”であり、根治性を損なうことなく、整容性も重視した治療法だ。すでに、いくつかのがん種に対し保険診療として実施されている。04年に肝がん治療で初めて保険適用となって以降も、22年に肺がん、小径腎がん、悪性骨腫瘍、骨盤内悪性腫瘍、四肢・胸腔内および腹腔内に生じた軟部腫瘍、類骨骨腫(良性)へと適用が拡大。

国立がん研究センター中央病院(NCCH)を中心とする多施設で実施された特定臨床研究により、乳がんに対しても、その根治性と安全性を確認できたことから、23年12月に保険適用となった。短期成績での乳房内無再発生存割合は、標準治療である乳房部分切除術に劣らない成績と報告されている。

NCCHで乳がんRFAの特定臨床研究が始まった当時、長尾部長はNCCHに在職していた。その縁で、同研究の主任研究者である木下貴之・国立病院機構東京医療センター副院長や、同じく当時NCCHに在職し多数の乳がんRFAを手がけていた神保健二郎・湘南鎌倉病院乳腺外科部長の下、長尾部長は研修を行い、24年10月にRFA術者として認定を受けた。

RFAは2023年12月に早期乳がんに対して保険適用(Cool-tip RFAシステムEシリーズ) その間、手術室の西脇貴広・看護師長が中心となり、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師などによる「RFAチーム」を立ち上げ、勉強会やシミュレーションを積み重ね、受け入れ体制を整えてきた。昨年12月6日、招聘した神保部長も参加し、連続して2例のRFAを実施。いずれも治療は奏功、術後2日で退院した。

長尾部長は「これまでも術後の乳房再建術や、低侵襲に病変を切除する内視鏡手術など整容性に配慮した術式はありましたが、これらに加え、RFAという新たな選択肢を患者さんに提供することが可能となりました。北海道でRFAを受けられるのは当院を含め4施設のみです。乳がんと診断されRFAを検討されている患者さんは、お気軽にご相談ください」とアピール。

「今回治療を受けられた患者さんは、検診での早期発見で負担の少ない治療が可能となりました。定期的な乳がん検診を受けられることをお勧めします。当院は健康管理センターを併設していますので、ぜひご利用ください」と呼びかけている。

西脇・看護師長は「手術室は、すべての医療従事者が参加するチームプレーの場です。グループ病院の医師も参加するRFAという新規手術の準備を行い、立ち会えたことは自分にとっても素晴らしい経験となりました。今回の経験を糧に、これからも新規手術導入や態勢を整えることで手術室を活性化し、当院で手術を受けられる患者さんに、高度かつ安全な手術を提供したいと思います」と気を吐く。

なお、RFA実施施設になるには、日本乳癌学会が定める施設基準を満たす必要がある。

また適応の定めもあり、「長径1.5cm以下の単発限局性病変であること」などが適格基準。一方、「画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる症例」など、適応除外基準に該当する場合は実施できない。

→徳洲新聞1480号掲載

 

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