介護系施設

愛心訪問看護ステーション(訪看ST、神奈川県)、湘南鎌倉介護相談室(神奈川県)、地域包括支援センター湘南鎌倉(同)は、連携して防災体制を整備している。今年度から全介護事業所に義務付けられたBCP(事業継続計画)策定がきっかけ。

3事業所は同一建物内にあり、BCP策定を通じ防災対策を統一、災害時の迅速な対応を目指している。防災士の資格をもつ同訪看STの秋山麻美子保健師が、策定を主導した。防災士は日本防災士機構が認証し、防災に関する一定の知識と技能を有することを認める民間資格。

BCP策定にあたり、3事業所共同で非常用電源や防災用品を配置し、建具には転倒防止装置を設置した。また、職員の防災意識を高めるため、事業所周辺のハザードマップを全員で作成。公用車には防災用品を備え、訪問看護師は震災時の初動チェックリスト(アクションカード)を携帯している。

災害発生時の職員の参集基準についても、内水氾濫(豪雨で下水道などから雨水があふれ出し浸水すること)や土砂災害のリスクが高いルートを把握したうえで、個々の災害時通勤ルートを選定。「災害時に安全に参集でき、初動対応可能な職員を見直しました」と、同地域包括支援センターの宮谷清美管理者。

在宅生活をしている利用者さんやその家族と、災害用伝言ダイヤルのかけ方や最寄りの避難場所の確認なども実施。湘南鎌倉介護相談室の北村絵美管理者(主任介護支援専門員)は「発災直後、ご自身で身を守る方策を提案しています」と説明する。

さらに、5月に震度6弱の地震を想定した避難訓練を合同で実施。訪問看護中の医療機器の取り扱い、利用者宅へ移動中に被災した際の対応など検討課題が職員から挙がり、対策を練り直している。同訪看STの野口薫所長(徳洲会看護部門地域部訪看ST代表者)は、「訪問エリア内に観光スポットが多く、災害時には負傷した観光客や渋滞リスクを考慮する必要があると、わかりました」と振り返る。

野口所長は「私たちの事業所だけではBCPは成り立たず、現在、鎌倉市内の訪看STと協働で、災害チームを立ち上げ、被災時にも、互いの利用者さんを守れるような体制をつくっています」と強調。秋山保健師は「地域の防災活動にも参加し、今後は役所や地域の方とも顔の見える関係をつくり、災害時に協力し合えるようにしたいです」と力を込める。

→徳洲新聞1462号掲載