福岡徳洲会病院
福岡徳洲会病院の看護部が実施している「高齢者集中ケア」が奏功している。同取り組みは平日の午後2~4時に病棟の一角で、認知症やせん妄などの症状をもつ高齢の入院患者さんを対象に簡単な運動や会話などを実施。心身の機能維持と穏やかな入院生活が目的だ。
きっかけは中心的な役割を担っている弘顕子・看護副主任が2013年に認知症看護認定看護師の資格を取得したことにある。専門性を生かした取り組みを模索するなか、集中的にケアを行うことを思いついた。「もの忘れがあるとリハビリテーションでも意義を忘れてしまい、行わない患者さんが少なくありませんでした。ところが、ほかの患者さんが行っていると“自分も体を動かそう”という傾向がうかがえたので、複数の患者さんを集め、集中的にケアをしようと考えました」。
14年に同院が新築移転し、より広いスペースが確保できたことから本格的に展開。実施日や対象者を増やした。さらに介護老人保健施設での勤務経験をもつ介護職員なども加え、施設での経験を生かし簡単な運動プログラムを考案。歩行やボール投げなどメニューを充実させた。介護職員は運動メニューを考え、弘副主任は興奮している患者さんのアセスメント(評価)を行うなど、役割分担を図りながら現在、年間延べ300人程度の患者さんに実施している。
患者さんの状態に合わせてツールを変え、効果も検証。焦燥感が改善した例や機能維持が図られている例など、多くのケースで何らかの効果が得られているという。日中、穏やかに過ごす患者さんが増えるなど、入院生活も改善。以前は認知症やせん妄などで常時見守りが必要な患者さんは、スタッフステーションで一定の時間を過ごすことがあったが、集中ケアに取り組んでからは病室で過ごす時間が増えた。
「スタッフステーションはモニターの音が響いたりスタッフがあわただしく動いていたりするので、環境を改善したいと思っていました」(弘副主任)
8月からは、さらにイブニングケアを実施。看護補助者を加えた2人で週3日、夕方から就寝前の時間にかけて患者さんの足浴などを行っている。「夕方にせん妄や帰宅願望が見られやすいので、その時間帯にリラックスしていただこうと始めました。寝つきが良くなるなど、手応えを感じています」と弘副主任。
現在、認知症の研修を受講している看護師が各病棟に3~4人いると明かし、「積極的にかかわってもらい、患者さんが良くなることを体感して各病棟で広めてもらえたら」と、先を見据える。
⇒徳洲新聞No.1104掲載記事

