静岡徳洲会病院
静岡徳洲会病院は、食支援に関する職員教育に力を入れている。同院が2021年から実施している「口から食べるプロジェクト」の一環で、医師、看護師、管理栄養士、リハビリテーションセラピストなどで構成する栄養サポートチーム(NST)が中心となり実施。勉強会や研修会など企画を続々と打ち出し、幅広い職種が参加している。患者さんのみならず地域全体の嚥下機能向上を目指す。
「口から食べるプロジェクト」は、ひとりでも多くの入院患者さんが食事を口から摂れるようにする取り組み。入院早期にVE(嚥下内視鏡)による嚥下機能評価を行い、NSTメンバーと病棟スタッフで嚥下訓練方法や食事形態などを協議し、早期の食支援を実施。経口摂取を維持できた患者さんが増加するなど、着実に成果が現れている。
今年に入り、活動を加速化。NSTメンバー以外の職員にも食支援に関心をもってもらおうと、外部講師による勉強会を3月に開催した。会には職員200人以上が参加し、他院が実践している経口摂取移行の取り組みなどを学んだ。NSTのリーダーを務める小川千代子・看護師長(当時、摂食嚥下リハビリテーション学会認定士)は「勉強会後、リハビリセラピストが担当患者さんの食事の様子を病棟に確認しに来て、口腔のリハビリを積極的に行うようになるなど、院内全体で摂食嚥下に対する関心が高まりました」と振り返る。
多様な職種から「もっと学びたい」という声も上がったことから、同チームは6月に「口から食べる幸せを守る会」の小山珠美理事長を講師に迎え、「食事介助セミナー」を企画。医師、看護師、リハビリセラピスト、管理栄養士、事務職員に加え、院内併設の介護医療院「ゆうかりの木陰」の介護福祉士らが受講し、口腔ケア、食事介助技術、災害時の要介護状態の患者さんに対する食支援方法などを、実技を交えながら学んだ。参加者からは「自信をもって食事介助ができるようになりました」、「誤嚥を引き起こしにくい姿勢のメカニズムが理解できました」といった感想が聞かれ、好評を博した。
研修内容を深く理解できるように、事前に摂食嚥下の基本的な知識を学ぶ勉強会を実施するなど工夫も凝らした。NSTメンバーの亀山友美・栄養管理室副室長(管理栄養士)は「講師から、受講者が基本的な用語を理解しているため、スムーズに講義ができたと言っていただきました」と強調する。
11月に同じ講師・テーマでセミナーを開く予定など、職員のモチベーションは上昇中。同セミナーをベースにした実技研修を毎月行い、食支援についてアドバイスできる職員を育成したり、摂食嚥下に関する職員の理解度を評価する制度の導入を検討したりするなど、職員のスキル向上に余念がない。
亀山副室長は「学び続けることで、患者さんの安心・安全な食事の経口摂取を目指します」と力を込める。小川・看護師長も「病院全体で食支援に取り組み、当院のみならず地域全体の嚥下機能向上につなげていきます」と意気軒高だ。
→徳洲新聞1454号掲載



