福岡徳洲会病院
多職種が続々と専門資格を取得
福岡徳洲会病院はチーム医療で集中治療室(ICU)を運営している。「スーパーICU(特定集中治療室管理料1・2)」の要件に必要な医師、看護師、臨床工学技士(CE)に加え、薬剤師、理学療法士(PT)、管理栄養士などもICU内で専従または半専従として勤務。集中治療の質向上とともに、早期離床・リハビリテーション加算や早期栄養介入管理加算の算定にも寄与している。また、昨年始まったICUに関する専門資格を多職種が次々に取得。専門性を発揮しチーム医療をより促進している。同院は要件が厳しくなった今年度の診療報酬改定でも、スーパーICU算定を目指す。
2024年度の診療報酬改定で、特定集中治療室管理料の施設基準が見直された。SOFAスコア(臓器障害を点数化し重症度を判定するツール)がICUの患者指標として導入されたほか、専任医師の条件がより厳しくなるなど変更が加えられた。また、4月からの「医師の働き方改革」では、多職種へのタスクシフト(業務移管)が進んでいる。こうしたなか、ICU内のチーム医療がより重要視されるようになってきた。
福岡病院では、これに先駆け10年以上前からチーム医療でICUを運営。江田陽一・集中治療センター長は「毎朝、多職種でICUチーム回診を行い、正確な病態把握、情報共有に努めており、ディスカッションしたうえで、治療法やケアを考えています。多職種それぞれが主治医のつもりで治療に従事しています」と強調する。
また、昨年からICUに関連する多くの専門資格の認定制度が始まり、同院では多職種が積極的に挑戦。日本臨床救急医学会が認定する救急専門薬剤師を立石裕樹・薬剤部主任、日本集中治療医学会が認定する集中治療認証看護師を山邉太一看護師、集中治療専門臨床工学技士を岸川源直・臨床工学科係長と森下世紀・臨床工学科副主任、集中治療理学療法士を中島浩貴リハビリテーション科副主任(PT)がそれぞれ取得し、専門性の発揮を後押ししている。
薬剤師は立石主任を中心に3人が交替で常駐。多くのICU患者さんは肝・腎機能障害や腸管吸収の低下、大量輸液による体重増加など薬物治療を複雑にする問題を抱えているため、薬剤師は必要な治療薬の提案や投与量の調節、薬や検査の代行オーダーなどを行うことで、積極的に薬物治療にかかわっている。立石主任は「チーム医療を行う環境が成熟してきて、他職種にも相談しやすいです。今後は後輩の育成にも尽力していきます」と抱負を語る。
看護師は、山邉看護師以外にも集中ケア認定看護師や呼吸療法認定士、心不全療養指導士など有資格者が多く在籍し、質の高い看護提供を維持。常時2:1の看護配置が必要だが、同院では看護師2人が患者さん4人を担当、手厚いケアを実践している。山邉看護師は「多職種がICUに常駐しているので、気軽に相談できます。多職種との架け橋になり、看護師間の連携も強化し、さらなる看護の質向上を目指します」と誓う。
CEは、医療機器の安全管理にとどまらず、たとえば、人工呼吸器を装着した患者さんがリハビリテーションを行う際、機器を管理しながらサポートすることもある。森下副主任は「チーム医療では、各職種が専門性の強みを生かし、理解し合ったうえで患者さんの治療にあたることが重要です」と指摘。岸川係長は「ICU患者さんに“ルーチン”はありません。つねに数値が変化し個別対応が必要なため、常駐する意味合いは大きいです」とアピールする。
PTは、2013年から専従者を配置。原則として入院翌日、手術翌日にリハビリを開始し、早期のADL(日常生活動作)改善とPICS(集中治療後症候群)予防を目指す。チーム回診で得た情報をふまえ、人工呼吸器管理中の患者さんであっても積極的に介入することがあるが、中島副主任は「重症患者さんのリハビリはリスクがともなうため、多職種の協力により、できることも増えます」と説明。今後は後輩の育成にも注力していく。
管理栄養士は、専任2人を中心に計6人が担当。早期の経腸栄養をはじめとする適正な栄養療法が、患者さんの予後に大きく左右すると示されているため、身体所見や検査データなど日々変化する病態を把握し、栄養状態の予測・評価を行い、最適な栄養療法を主治医に提案する。栗並美保・栄養管理室係長は「チーム回診で情報共有し、治療方針やリハビリのタイミングなどに合わせて介入方法を考えています」と尽力している。
→徳洲新聞1448号



