宇治徳洲会病院

宇治徳洲会病院(京都府)は第3回がん地域医療連携を考える会を開催した。同院会場には地域の医療関係者、行政関係者ら161人が一堂に会し、多死時代の到来に向け、がん患者さんを地域でどう支えていくか、事例をもち出しつつ対応を学んだ。同院は地域がん診療連携拠点病院であり、当該がん医療圏の医療機関と情報共有・意見交換の場を年1回以上設ける必要がある。同医療圏の同拠点病院である京都岡本記念病院と分担し、会を主催、今回は宇治病院での開催となった。
同院の末吉敦院長は冒頭、「がん診療には病院の診療体制を強化するだけでなく、勉強会などを通じ地域連携を強化していく必要があります」と指摘。会は地域医療連携に主眼を置いているため、発表は在宅医療、とくに終末期医療を病院とどのように連携して支えるかという観点が多く見られた。

京都府健康福祉部健康対策課の四方啓子参事は「京都府のがん対策」と題した発表のなかで、同府の死亡者数の約25%が悪性新生物によるもので、人口は減少傾向にある一方、死亡者数は年々増加傾向にあることを明かし、これにどう対応していくかが今後の大きな課題と認識を示した。
その後、宇治病院の我如古理規・消化器外科副部長が「がん終末期診療における多職種連携」、同院の加藤好美・皮膚・排泄ケア認定看護師(褥瘡管理者)が「終末期の褥瘡ケア」、竹澤内科小児科医院の竹澤健院長が「末期癌患者に対する在宅医療と多職種連携」、中村診療所の中村肇院長が「訪問看護ステーションとの連携による在宅ターミナルケア」、訪問看護ステーション月の山根絹管理者(看護師)が「若年層癌終末期における在宅看護のあり方」、宇治病院介護センター居宅介護支援事業所の國田裕之ケアマネジャーが「居宅介護支援事業所の立場から~在宅介護支援における多職種との連携~」、まつだ在宅クリニックの松田かがみ院長が「在宅オピオイド持続皮下注射について~当院の経験症例~」、京都岡本記念病院の樋上翔一郎医長が「当院における高齢者のがん治療について」をテーマにそれぞれ発表。
会では、在宅での終末期医療の需要は今後、増加する見とおしであるにもかかわらず体制がまだ不十分であること、質の高いケアのためには入院時から在宅を見据え、クリニックや訪問看護ステーションなど、在宅医療を担う医療者と病院とで密接に情報共有することが大切であることなどを再確認した。
→徳洲新聞1437号掲載