徳洲会グループ
第21回日本臨床腫瘍学会学術集会が名古屋市内で開催され、徳洲会グループはシンポジウムやミニオーラル、ポスターの各セッションで計9演題発表した。膨大な実臨床のデータを活用した“徳洲会リアルワールドデータプロジェクト”から胃がんと肺がんに関する2演題を発表。さらに専門的な薬物療法から離島の在宅緩和ケアまでテーマは多岐にわたった。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる悪影響:日本の胃がん治療(Tokushukai REAl - world Data project 08 〈TREAD-08〉)」をテーマにミニオーラルのセッションで発表したのは、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の下山ライ副院長兼外科部長。
COVID-19の流行前と流行期を比較し、胃がんの診断や治療、予後に及ぼしたパンデミックの影響を検討した。対象患者は総計約1万4,000人。結果、スクリーニング検査での胃がんの検出は12%減少、転移がんの検出が9%増加、根治手術の実施が15%減少、放射線療法の実施は32%減少、死亡率は9.4%増加していたことがわかった。「COVID-19パンデミックが日本人の胃がんの診断や治療の実施、予後に悪影響を及ぼしていることが実証されました」とまとめた。
一方、肺がんを対象としたTREADに関しては、同院の福井朋也・呼吸器内科主任部長が「実臨床における進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)患者に対するがん薬物療法の徳洲会メディカルデータベースを用いた後ろ向きコホート研究(TREAD-06)」と題しポスター発表を実施。臨床試験を経て、2019年8月にED-SCLCに対する初回標準治療となった免疫チェックポイント阻害剤(ICI)併用療法に関して、リアルワールドデータを用い、その有効性を検討した。登録された590人の患者さんのうち、96人が初回ICI併用療法を受けており、「80歳未満」、「女性」、「PS(全身状態を示す指標)良好」などの患者さんの生存率が高かった。これらをふまえ「実臨床でもED-SCLCの患者さんに対する初回ICI併用療法の有効性が確認されました」と結んだ。
千葉西総合病院の岡元るみ子・腫瘍内科外来化学療法センター長はガイドライン作成委員として「抗がん剤を安全に投与する~デバイス選択、血管外漏出・静脈炎に取り組む~」と題するシンポジウムに登壇した。「血管外漏出時の治療─エビデンスを踏まえどう対応していくべきか─」をテーマに、治療ガイドラインをふまえ、推奨されている対処法を一つひとつ丁寧に解説。そのうえで「漏出経過観察方法の標準化や緊急時治療法の確立、血管障害予防と治療などが今後の課題に挙げられます」とまとめた。
「ここまでできる!どこまでできる?在宅緩和・終末期医療を考える」をテーマとしたシンポジウムに登壇したのは、徳之島徳洲会病院(鹿児島県)の田畑幸利看護師。「最期まで離島で良く生きる、徳之島でできる在宅緩和ケア」と題し、在宅緩和ケアのアウトリーチ(必要な支援を届ける)活動を紹介した。
このほか、和泉市立総合医療センター(大阪府)の佃博副院長、大田隆代・乳腺内科部長、岡部嵩記・腫瘍内科部長、仙台徳洲会病院の神賀貴大・外科部長、千葉西病院乳腺外科の長谷川圭副部長がポスター発表を行った。
→徳洲新聞1437号掲載

