東北地方

徳洲会東北ブロック

徳洲会東北ブロックは3月6日、看護・介護研究発表会を開催した。同ブロックは2014年から看護部門と介護部門が合同で研究発表会を実施、相互理解を深め、連携を強化するのが目的だ。今回は病院や介護老人保健施設(老健)などから計16演題の発表があった。

会の冒頭、徳洲会看護部門東北ブロック長である新庄徳洲会病院(山形県)の安食るみ看護部長が挨拶。昨年5月に外部講師を招き「研究の進め方」をテーマにした研修を行ったことを振り返り、「研修を生かした研究発表を期待しています。発表だけで終わらず、業務実践につなげられるようにしましょう」と呼びかけた。

発表は病院から5演題、老健から8演題、訪問看護ステーションから1演題、グループホームから1演題、仙台徳洲看護専門学校から1演題の計16演題。このうち病院では庄内余目病院(同)と山北徳洲会病院(新潟県)が、近年の地震多発を受け「災害時の透析からの緊急離脱」をテーマに発表した。

庄内余目病院は梅木千春看護師が発表。患者さん10人に緊急離脱体験を行ってもらい、安全性、簡便性、確実性についてアンケート調査した結果、災害時に患者さんは透析回路につながれた状態から早く離脱したいという気持ちを有していることがわかった。「より安全性を図るため、今後はスタッフにも同様の体験を行い、緊急離脱マニュアルを完成させていきます」と展望した。

山北病院は佐藤智絵看護師が発表した。逆流防止弁機能付き留置針(ロック法)と逆流防止弁機能なし留置針にキャップ装着(キャップ法)の2種類の留置針での緊急離脱に要する時間、さらに血液回路の固定方法別における強度について、それぞれ比較検証。結果、ロック法による離脱のほうが早いことがわかり、災害時に有効であることを示唆した。

介護施設からは、コロナ禍での取り組みや在宅復帰に向けた支援に関する演題などがあった。老健優和の里(新潟県)の佐藤真融・要介護福祉士は「コロナ禍でも家族とのつながりを継続できた援助~自分史を活用して~」と題し発表。回想法を用いた自分史の作成により、家族とのつながりを維持できた例を提示、「今後、継続する感染防止対策のなかでも、家族とつながっていけるように、日頃から利用者さんの話に耳を傾け、相手の言葉や思いに寄り添える援助をしていきたい」と抱負を語った。

老健舟形徳洲苑(山形県)の栗田伸一・介護福祉士は「もう一回家さ連れて帰りたいや~在宅復帰する介護度の高い利用者の家族へのアプローチ~」をテーマに発表。介護度の高い利用者さんの在宅復帰に向けた取り組みを実施するなか、家族へのアンケートや聞き取り調査を行い、不安や悩みを抽出した。在宅復帰はかなわなかったが、「直接会って介護指導を行うことで、ご家族の思いを共有し、不安を解消することができました」と振り返った。

老健ほのか(同)の余語杏子・介護福祉士は「在宅復帰に向けての排泄支援」と題し発表。排泄動作の自立を目指すことで、在宅復帰につなげ、家族の負担・不安の軽減を図った例を報告、「一部介助から、一連の動作を自力でできるようになり、本人も自信が付いたようです」とアピールした。

会を終えて安食・看護部長は「他施設の発表を聞くことで、気付きが多く、自施設の取り組みを振り返るきっかけになりました。必要であれば自施設に取り入れることで、より看護・介護の質向上につながると考えます」と強調。看護部門・介護部門の合同開催に関し、「互いの取り組みや強みを知ることで、安心して患者さんの紹介ができるようになります。今後も年1回の開催で、互いに研鑽していきたいです」と意欲的だ。

→徳洲新聞1438号掲載