徳洲会グループ

2021年に始まった「医師の働き方改革」が本番を迎え、24年4月に医師の労働時間短縮に関する改正がスタートする。働き方改革関連法案が公布されたのは18年7月。柱のひとつが「時間外労働の上限規制」であり、医師や建設事業、自動車運転の業務などに関しては、労働環境の抜本的な改善を要するとの理由から、5年間適用が猶予されてきた。

徳洲会グループは21年7月に「医師の働き方改革ワーキングチーム」を設置し、本格的に取り組みを開始。22年10月には湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の亀井徹正総長をリーダーとする「医師の労働時間規制分科会」、医療法人徳洲会の落合亮一顧問をリーダーとする「タスクシフト/シェア分科会」をそれぞれ立ち上げ、プロジェクトを進めてきた。

医師の労働時間規制分科会では、電子カルテのアクセス情報をもとに研修医(初期研修医、専攻医)の労働時間を算出するシステムを開発する。働き方改革では、客観的な方法により労働時間を把握することを義務付けているためだ。計画では電子カルテのアクセス情報と、タイムカードから得た労働時間を照合し、実際の労働時間を割り出す。まず4~5病院程度の参加を想定。今後、実施病院を決め施行する。

タスクシフト/シェア分科会では、法改正を経て13業種で72業務まで拡大したことを受け、各職種の業務拡大に関し検討。なかでも特定看護師の活躍には期待がかかる。特定行為を行うにあたり、医師による指示出しや特定看護師による指示受け、実施した特定行為の記録と評価などを電子カルテ上に記録する必要があるため、同分科会と徳洲会インフォメーションシステムは「特定行為オーダリングシステム」を開発。

同システムは24年1月から8病院で最終トライアルを行う計画だ。落合顧問は「順調に特定看護師の育成は進んでいますので、運用システムを導入することで診療を支援していきます」と展望する。

また、同分科会は徳洲会グループの臨床工学部会、臨床検査部会、薬剤部会、放射線技師部会、医事部会医師事務分科会にヒアリングを行い、各職種での業務拡大の進捗状況や課題を共有。このうち臨床工学部会は、重点取り組み項目としてスコープオペレーター(内視鏡下手術時に内視鏡を操作)、清潔補助(手術機械出し)、麻酔補助を設定。手術室で臨床工学技士が活躍し始めている。

進む事務部門のICT導入

診療スタッフや事務部門に医師の業務を移管することで、増大する負担の軽減も課題だ。落合顧問は「診療スタッフ間のタスクシフトも進んでおり、今までひとつの職種で行っていた業務を、多職種で行うようにもなっています。診療スタッフや事務部門の負担軽減は、病院独自で取り組み始めています」と指摘する。

各グループ病院・施設では、診療スタッフや事務部門をサポートするロボットやICT(情報通信技術)の導入が進んでいる。たとえば湘南鎌倉総合病院(神奈川県)では県の「ロボット実装促進事業」の実施施設に3年連続で採択。同事業をとおし複数のロボットを現場に導入した。介護分野では介護老人保健施設(老健)ほのか(山形県)が導入した見守りシステム「LIFELENS」を、特別養護老人ホーム(特養)逗子杜の郷(神奈川県)、特養かまくら愛の郷(同)、老健かまくら(同)にも設置した。

また、多くの病院・施設でAI(人工知能)問診、音声自動入力システム、スマートベッドシステムなど、さまざまなツールの活用が加速。医師の働き方改革適用後も、人とロボットなどが共存し、多職種が一丸となり、「断らない医療」を堅持していく。

→徳洲新聞1422号掲載