宇治徳洲会病院
関東や離島にある徳洲会病院から参加者も
宇治徳洲会病院(京都府)は11月18日から2日間、自院で初期臨床研修指導者養成講習会を開いた。臨床現場で研修医を教育する臨床研修指導医(指導医)の養成を目的とした講習会で、主催は同院初の試み。徳洲会グループでは一般社団法人徳洲会(社徳)が年に2回ほど実施しているが、指導医の養成ペースを加速させる狙いから、同院は単独開催を企画した。社徳の講習会同様、厚生労働省の「医師の臨床研修に係る指導医講習会の開催指針」に準拠しつつ、市中病院ならではの特徴を生かし現場目線を意識した取り組みとなった。
指導医は研修医を指導する医師。原則7年以上の臨床経験に加え、厚労省の開催指針に準拠した講習会の修了などが求められている。
徳洲会グループでは、社徳が同指針にのっとった内容の講習会を年に2回ほど実施しているが、もともと医療界全体で開催回数の不足が指摘されていることなどから、今回、徳洲会グループ研修部門統括責任者でもある宇治病院の末吉敦院長の発案から、自ら講習会ディレクター(主催責任者)として企画・指示し、同院での開催が実現した。準備を進めるにあたり、中心的な役割を担った福井道彦・集中治療科部長(院内の臨床研修委員会副委員長)は「全国で年間の医学部卒業生が約9,000人であるのに対し、講習会修了者は5,000人強と、ほぼ半分。育成が急務です」と指摘。
福井部長は末吉院長をはじめグループ内外の協力・支援を得ながら準備。内容については厚労省の指針に基づきつつ、講師やスタッフなどは現場目線を意識し調整した。その結果、チーフタスクフォース(企画責任者)は福井部長、六地蔵総合病院(京都府)の木戸岡実院長、滋賀医科大学の川崎拓・医師臨床教育センター長兼教授の3人。タスクフォース(世話人)は宇治病院の自閑昌彦・心臓血管内科医長(院内臨床研修委員会委員長)、我如古理規・外科副部長(同委員)、横田浩美・産婦人科医長、光藤悠子・乳腺外科部長兼ブレストセンター長、清水優・麻酔科部長の5人が務めた。
参加者は30人。関西エリアを中心に関東、離島、沖縄の各ブロック病院からの参加者も見受けられた。
初日は主にグループワークを実施。「社会が求める医師の基本的臨床能力」を話し合ったり、研修医の目標設定や目標到達に必要な研修方法、設定目標に対する評価について講義を受けたうえで、実際に目標設定や研修方法の選択などを協議したりした。話し合った内容をまとめ、最後にグループごとに発表。
講義も行い、京都府立医科大学の四方哲・総合医療・地域医療学教授が医師臨床研修制度の理念や概要などを解説。「医師の働き方改革」に関する講義では、宇治病院の内藤万嗣・総務課課長補佐が説明した。
2日目は講義を中心に展開。初日の振り返りを行った後、同院の白石裕子・看護主任(摂食嚥下認定看護師)が「看護師特定行為研修の実際」をテーマに「特定行為に係る看護師の研修制度」などを解説した。また同院の畑倫明・救命救急センター長兼外傷外科部長が「医療安全から見たプロフェッショナリズム指導の重要性」、福井部長が「コーチングを用いたフィードバック技法」をテーマに講義。
末吉院長も「Teaching method」と題し、成人教育のポイントを解説。目的の説明、経験の有無を尋ねる、実際に触れる、経験させる、ほめる、理解しているかを確認する、目を見て話す、笑顔、笑い、予習をさせておく、到達目標を設定する、フィードバック、双方向型、最後は教えさせるなど指導する際の要諦を提示した。
グループワークはロールプレイを通じ指導医のあり方を考えたり、臨床研修現場の問題点について議論し、優先度を決定して対策を検討したりした。
最後に2日目の振り返りを行い、講習会は終了。プログラムは計16時間35分に及んだ。無事に終わり福井部長は安堵の表情。「タスクフォースや講師のほとんどを現場の方にお願いしたおかげで、2日間、現場目線に基づく議論ができました。反対にタスクフォース・講師の皆さんも気付きを得る機会になったと思います」と手応えを示した。
末吉院長は「福井先生や木戸岡先生はじめ研修委員長経験者が多かったので、まったく心配していませんでした」と笑顔。「研修医を育てるには指導医が必要ですから、徳洲会も一層多く養成していかなければなりません。毎年開催していきたいです」と意欲を見せ、「今回、修了した方が今度はタスクフォースとして参加してもらえたら、グループの指導医にも厚みが出ると思います」と期待を寄せた。
サポートした社徳医師人事部の江連毅係長(徳洲会グループ研修委員会事務局担当)は「徳洲会は日本最大の民間医療グループとして、多くの若手医師を育成する責任を担っています」と強調。「持続可能な講習会開催のあり方を宇治病院にも参加いただきながらオール徳洲会で構築していきたいです」。
→徳洲新聞1421号掲載



