徳洲会グループ

韓国・京福大学校医療保健学部看護学科「徳洲会クラス」の看護学生20人(4年生)が7月3日に来日し、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)と湘南鎌倉総合病院(同)で臨地実習を開始した。来日した20人は2014年に開設した同クラスの1期生で、徳洲会病院で実習を行うのは今回が初めて。両院以外にも特別養護老人ホーム(かまくら愛の郷、つるみね)、介護老人保健施設(リハビリケア湘南かまくら、茅ヶ崎浜之郷)、訪問看護ステーション(愛心、茅ヶ崎駅前)で実習。実習期間は14日まで。

2019年に看護師として入職

京福大学校の徳洲会クラスは徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念に基づくケアを実践し、世界に通用する看護師の育成を目的とする。同クラスを卒業し韓国の看護師免許を取得後、徳洲会病院・施設でのインターンを経て、日本の看護師国家試験に合格した者が入職。1期生は2019年に看護師として入職する。徳洲会は国籍を問わず優秀な看護師を育成・採用する一環として、京福大と提携し同クラスの開設・運営に協力している。

同クラスの学生は韓国内の病院での実習に加え、4年時に「国際看護実習」として日本を訪れ徳洲会病院・施設で実習を受ける。今回、来日した20人は3日に湘南藤沢病院で全員そろってオリエンテーションを受け、4日から湘南藤沢病院と湘南鎌倉病院に10人ずつに分かれ実習をスタートした。10日からは介護施設での実習も行う(スケジュール表参照)。京福大のキム・ソンジェ教授とクォン・スンヒョク教授が学生を引率した。

「感染予防がしっかり」

「失礼します。今日から韓国の看護学生が実習に来ています。見学させていただいてもよろしいでしょうか」。湘南藤沢病院の実習指導者のひとりである藤原裕太看護師が患者さんに挨拶して承諾を得ると、バン・スヨン実習生が一歩進み出て「よろしくお願いします」と一礼した。

ここは同院6階にある脳神経外科、泌尿器科、形成外科の混合病棟の一室だ。4日午後、病棟の設備や配置などひととおりの説明を受けた後、病棟実習が始まった。この病室に入院しているのは、翌日に内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」による前立腺全摘術を予定している患者さん。

バン実習生は森本麻美看護師と行動をともにし、術前処置に用いる下剤の用意の仕方などを見学。スタッフステーション内にある施錠された病棟ストック薬の保管庫から薬品(下剤)を取り出し、薬品使用時の書類への記入や、ダブルチェックのため他の看護師に確認のサインをもらう場面を目の当たりにした。森本看護師は一つひとつの動作のたびにジェスチャーを交えながら丁寧に手順を説明。このあと、粉末状の薬品を水で溶かし、コップで飲める状態にしてから、ふたりは患者さんのいる病室に向かった。

ミン・ジョンア実習生は藤原看護師に同行し採血を見学。血液中に細菌がいるかどうかを調べるための検査で、外部からの細菌の混入を防ぐ無菌操作をともなう採血の様子を真剣なまなざしで見ていた。イム・チャンヒ実習生はER(救急外来)から病室に移された患者さんへの処置や家族への説明の場面に立ち会った。チェ・ダスル実習生やイ・スンヒ実習生、ソ・グンジュ実習生、キム・ジュヨン実習生、キム・ミヒ実習生らも7階の一般外科病棟で、実習指導者の森巨樹看護師らに同行し、体位変換やおむつ交換などを見学した。

実習終了後、1日を振り返るカンファレンス(質疑応答)を実施。イ・ジウン実習生が進行役を務め、学んだことや印象などを一人ひとり報告した。「院内がとても清潔で感動しました」、「実習指導の看護師の方たちがとても丁寧に教えてくれました」、「感染予防がしっかりとなされていて学ぶべき点が多いと感じました」といった感想が挙がっていた。

「チーム医療学びたい」

湘南鎌倉病院ではパク・ソジョン実習生、キム・ソンヘ実習生、イ・ハンギョル実習生、イ・イェウン実習生、キム・ヘジン実習生が14階の内科系病棟(血液内科、腫瘍内科)で、ムン・ジェヒ実習生、ジャン・インソン実習生、キム・ジヨン実習生、キム・ジャヨン実習生、イ・ジェウン実習生が10階の外科系病棟(外傷整形外科)で、それぞれ実習を行った。

どちらの病棟も設備や備品、薬剤を扱う際のルールの説明から開始。薬剤を扱う際、ダブルチェックを必ず実行していることを見学した実習生は、安全意識の高さに感心することしきりだった。また、電子カルテを触ったことがなかったため、電カルシステムに興味津々。同院では患者情報の引き出し方、カルテの自動チェック機能など時間をかけて説明した。

病棟での説明には内科系では薬剤師、外科系では理学療法士も参加。韓国の病院では同じ病棟内で他職種のスタッフ同士が一緒に仕事をすることがほとんどないため、湘南鎌倉病院で「チーム医療を学びたい」と語る実習生が多かった。どのように多職種が連携しているか興味深く聞いていた実習生は「チームで動くから効率的です。患者さんにも優しく接していました」、「スタッフが慌てていなく、いつでも穏やかなのが良かったです」と感想を語っていた。

実習スケジュール(5人×4グループに分かれて実施。下記のスケジュールは一例)

1週目
(病院)
7月3日
(月)
来日(羽田空港着)
合同オリエンテーション
4日
(火)
施設別オリエンテーション
病棟(外科)
5日
(水)
外来・ER
透析センター
6日
(木)
病棟(内科)
7日
(金)
日帰り手術センター
手術室
8日
(土)
病院見学
9日
(日)
休日
2週目
(施設系)
10日
(月)
老健
11日
(火)
12日
(水)
特養
13日
(木)
14日
(金)
訪問看護ステーション
15日
(土)
帰国

実習後にはカンファレンス(質疑応答)を実施。実習責任者の中山美加・看護師長は医療安全について「当院は国際的な医療機能評価であるJCI認証を取得しています。ダブルチェックなどの決まりは明文化していますが、患者さんに安全・安心な医療を提供するためには必要なことです」と説明した。

チーム医療の捕足として、外科系病棟を回った班の実習指導者である佐藤千尋看護師が、同院のリハビリカンファレンスを紹介。同カンファレンスは医師、看護師、リハビリスタッフ、MSW(医療相談員)が参加し、入院直後から退院に向けて検討していることを強調した。「入院前は布団で寝ていたのに退院後はベッドを使うことを余儀なくされるなど、生活が変わる患者さんもおられるので、なるべく早くから退院に向けて動き出すことが大切です」という説明に、実習生は深くうなずいていた。

同院のオープンカウンター式のナースステーションについても意見交換。実習生の一人は「韓国にも、この形式は多いです。患者さんと家族がスタッフに話しかけやすくて良いと思います」と感想を話した。佐藤看護師は「薬剤師やリハビリスタッフの動きが見えやすいのもメリット。お互いの動きを見ることで、気遣いながら仕事ができます」とチーム医療に絡めて持論を展開した。

今後の実習について内科系病棟を回った実習生から「外科系病棟では手術前後の管理を見学したい」といった要望が挙がった。初日の締めくくりに中山・看護師長は「ぜひ、いろいろな職種とコミュニケーションを取ってください」とエールを送った。

実習生インタビュー

感動与えられる看護師に
イ・ドヨン実習生

実習を通じて、ひとつでも多くのことを学び、吸収したいと思っています。私は以前、韓国で手術を受けたことがあり、その時、看護師さんが手を握ってくれ安心したことをよく覚えています。私も小さなことでも感動を与えられる看護師になりたいです。また、患者さんの目線に立ち親近感や安心感を与えられるようになりたいです。


スペシャリスト目指す
イム・チャンヒ実習生

人の役に立てる仕事をしたいと考えて看護師を目指しています。看護師にも感染や救急、手術など、さまざまな専門分野がありますが、私も特定の道を究めたスペシャリストになりたいと思っています。病院の雰囲気がとても良く、患者さんへの愛情がとても感じられ、この病院(湘南藤沢病院)で働きたいと強く思いました。


チーム医療が素晴らしい
キム・ジャヨン実習生

近い将来、自分が働く職場を見学できて良かったです。院内の雰囲気も良く職員の方々も優しくて期待以上でした。今回の実習では、まだ韓国ではなじみのないチーム医療を学びたいです。多くの職種で1人の患者さんのことを考えるのは素晴らしいと思います。将来はICU(集中治療室)で働くのが夢なので、しっかり勉強します。


高齢者看護を修得したい
イ・イェウン実習生

日本語はまだ難しいですが、今回の実習を楽しみにしていました。韓国でも高齢化が進んでいるので、日本の高齢者看護をしっかり学びたいと考えています。今回は病院だけでなく、いろいろな施設を経験できるのがとても楽しみです。将来は日本に限らず、途上国での災害救助などにも携わりたいと思います。


⇒徳洲新聞No.1090掲載記事