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口腔ケアで誤嚥性肺炎予防

厚生労働省が発表した「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」によると、死因第1位は悪性新生物(腫瘍)、2位は心疾患で、6位に約5万6,000人(全体の3.6%)が亡くなった誤嚥性肺炎が入っています。誤嚥性肺炎は、老化や脳血管疾患の後遺症などによって、嚥下機能(飲み込む力)が低下し、口腔内の細菌や食物残渣(食べかす)が気管に入ることで発症します。重症化すると死につながる恐れがあるため、口腔ケアによる予防が肝要です。介護保険施設での口腔ケアを介護老人保健施設(老健)しんかま(千葉県)の稲又ゆかり看護責任者(看護主任)が解説します。

誤嚥性肺炎の予防には、適切な口腔ケアが欠かせません。口腔ケアでは、歯ブラシでのブラッシングなど口腔内の清掃や、摂食・嚥下機能の維持・向上などを図るための口腔機能訓練を行います。摂食・嚥下機能が低下すると、認知機能の低下や低栄養、フレイル(心身の虚弱)にもつながったりするため、早めの対応が必要です。また、咳嗽反射(むせてせき込むこと)ができなくなると、寝ている間に唾液が気管に入り、気付かないうちに誤嚥を起こす不顕性誤嚥になって肺炎を発症することがあり、注意を要します。

老健など介護保険施設(入所系サービス)での口腔ケアの取り組みについては、これまで介護保険制度上は努力義務にとどまっていましたが、2021年度介護報酬改定で基本サービスとして義務化が決定しました。24年3月までは経過措置期間として猶予されますが、同4月に義務化がスタートし、介護保険施設での口腔ケア体制の強化が図られます。

具体的には①口腔衛生管理体制計画の立案、②入所者の口腔の状況の確認、③口腔清掃の用具の整備、④口腔清掃の実施、⑤介護職員の口腔清掃に対する知識・技術の習得、安全確保、⑥食事環境をはじめとした日常生活における環境整備、⑦歯科医師などからの技術的助言・指導と計画の見直し――が義務化されます。

ここから当施設の取り組みを紹介します。当施設は鎌ケ谷総合病院の併設施設で、同院歯科口腔外科の医師と歯科衛生士の協力を得て、入所者さんの口腔ケアを実施しています。

毎週月曜日に回診を行っており、医師、歯科衛生士、看護師、介護士、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士と多職種が参加し、入所者さんの口腔内の状態を確認します。嚥下内視鏡による評価を行うこともあり、指導を受けた職員による口腔ケアやSTによる嚥下訓練を行っています。同院と連携し義歯の作成・調整、歯科治療なども提供します。

当施設では、必ずしも食後に限らずブラッシングを行い、「さっぱり感」を感じてもらうなど、入所者さんに口腔ケアの気持ち良さを体感してもらえるよう取り組んでいます。最期まで口から食べていただくためにも、毎日の口腔ケアは重要です。

→徳洲新聞1415号掲載