皆野病院

皆野病院(埼玉県)は県から災害時連携病院の指定を受けた。災害時連携病院は、多数の負傷者の発生が想定される首都直下地震をはじめとする大規模災害に備え、発災時に重症患者さんの受け入れなどを行う災害拠点病院と連携を図り、中等症患者さんや容態の安定した重症患者さんの受け入れなど役割を担う。2022年1月に始まった同県独自の制度で、同院を含め18病院が指定。同院は今年1月に指定、これまで以上に災害医療への対応を強化し、地域に貢献していく考えだ。

これまで同院が立地する秩父地方には災害拠点病院などがなかったことから、発災時に患者さんの受け入れをはじめとする災害医療を展開し、診療機能の維持に努める医療機関を整備することは地域の課題だった。

こうしたなか、救急医療を含め地域の医療に尽力する皆野病院は、県から災害時連携病院への指定に関し打診を受け、「医療を営む以上、病院は災害に強くなければならない」(若山昌彦院長)との考えから、指定を目指す方針を決定した。

「首都直下型地震が起これば多くの被災患者さんが発生し、埼玉県に大勢の方が搬送されることが想定されます。災害時でも患者さんを受け入れる病院が必要です」(倉林光春事務長)

また、同院が立地する秩父地方は冬季に雪害の恐れがあり、実際に14年2月の大雪では最大積雪約1mを記録、孤立集落が発生するなど大きな被害を受けた。こうした特有の地域事情も同院が指定を目指した理由だ。

主な指定要件は「二次救急医療機関であること」、「業務継続計画(BCP)を整備していること」、「災害時に必要となる診療用水、自家発電機、食料、医薬品等を確保していること」など。ほとんどの要件をすでにクリアしていたが、未策定だったBCP作成に着手し昨年11月に完成。「当院のBCPでは雪害を想定した項目も盛り込みました。除雪用スコップは以前から用意していましたが、さらに圧雪破壊用のつるはしやスノーダンプ、塩化カルシウム(融雪剤)といった備品を増やし、透析患者さんや職員を迎えに行く際にも力を発揮する四駆の車両を1台増やし計2台としました」と金田政憲・総務課課長は説明する。

災害時連携病院の役割は災害拠点病院と連携し、中等症や容態の安定した重症の患者さんの受け入れを行うとともに、県内を活動エリアとする災害派遣医療チーム「埼玉地域DMAT」への人員の派遣などだ。2日間の養成研修を修了することで隊員資格を得られる。

同院では若山院長、阿部みどり看護主任、髙野友加・看護副主任、海澤克太・臨床工学科副主任(臨床工学技士=CE)が研修を修了、これにより同院に埼玉地域DMATが1チーム誕生した。今回の災害時連携病院とあわせて、同院は埼玉地域DMAT指定病院の指定も受けた。

阿部・看護主任は「14年に大雪の被害の大きさを体験し、自分たちも何かやらないといけないという思いがありました」、高野・看護副主任は「院内では心電図モニターなどを使えますが、被災現場では限られた医療資源で迅速・的確な処置が求められます。日々スキルアップが欠かせません」と力を込める。

若山院長は「災害対策で重要なのは、日常様式を災害時にも対応できるようにしておくことです。たとえば、家屋は耐震や免震構造にしておく、食料や日用品はローリングストック(ふだんから使用し非常時にも必要なものは、多めに備蓄しながら日常で使っていくこと)を行う。当院ではふだんの業務で四駆の車両を利用し、看護師は通常業務としてトリアージ(重症度・緊急度分類)を行っており、災害時に必要となる設備や業務を日常に取り入れています」と強調している。

→徳洲新聞1381号掲載

 

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