徳洲会グループ

新型コロナウイルス感染症の第7波が収束したと思ったのも束の間、昨年11月以降、再び新規陽性者数が右肩上がりで推移し、第8波に突入している(表)。全国の医療機関では職員が感染したり濃厚接触者となったりし、人のやりくりに難渋する事態が各地で起こり、医療逼迫に拍車をかけている。2020年にコロナ禍が始まって以来、一貫してコロナ患者さんの受け入れを行ってきた徳洲会グループ。コロナ第8波への対応状況をリポートする。

離島でも感染が広がっている。同日時点で26人の陽性者が入院する徳之島徳洲会病院(鹿児島県)。「年明けから急に増えはじめました。8床のコロナ病床を20床まで拡張しましたが、それ以上に患者さんが増えているのが現状で、循環器病棟を全面レッドゾーンとするゾーニングで対応しています」(大倉さとみ看護部長)。

喜界徳洲会病院(同)は第8波以降、コロナ病床を段階的に20床に拡張。職員の感染や濃厚接触による出勤停止の影響などで、人のやりくりに苦労が絶えない。

「看護部の全部署が協力し合い、各部署の業務をサポートしています。それでも足りず、患者さんの見守りなどをリハビリテーション科のスタッフにお願いすることもあります。インフルエンザの流行にも備え、油断せず気を引き締めていきたい」(徳丸順子・看護部長)

第8波で最大130人ほどの陽性者が発生し、予約入院の中止・延期や1病棟を閉鎖し3病棟に陽性者を集約するといった対応に年末から追われた大隅鹿屋病院(鹿児島県)。重田盟子・看護部長は「近隣の医療機関・福祉施設などでクラスター(感染者集団)が発生しています。当院はピークを抜けつつあります。今後も重症者は積極的に受け入れるなど、最後の砦としての役割を果たします」と積極的。

長崎北徳洲会病院は患者さんの滞在時間削減や職員の負担軽減を目的に、発熱外来に8月末からスマートフォンを利用した来院前AI(人工知能)問診を導入。鬼塚正成院長は「QI大会で湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)が同様の取り組みをしているのを知り、導入しました。インフルエンザとの同時検査の希望も確認し、円滑な診察につなげます」と、医療提供体制の維持に取り組む。

沖縄県にある中部徳洲会病院はコロナとインフルエンザの同時流行があり、2病棟でクラスターが発生。コロナ病床の21床とHCU(高度治療室)2床は満床が続いているため、陽性患者さんは病棟内でゾーニングし対応している。照屋いずみ看護部長は「発熱外来も急増しているため、中部地区医師会に申請し、1月14日から土日夜間向けの『発熱軽症者抗原検査センター』設置(会場:同医師会駐車場)の協力を得ることができました」と明かす。

南部徳洲会病院(沖縄県)は1月7日にコロナ病床を14床から19床に拡大。しかし、インフルエンザの感染拡大やコロナ疑似症患者さんの増加により、同12日に増床した5床(個室)を一般感染病床に変更、フレキシブルに対応している。「県からは連休(1月7~9日)明けが第8波のピークと言われました。クラスターは抑制できていますが、気を引き締めています」(大城光子・看護部長)。

吹田徳洲会病院(大阪府)は、コロナ用のプレハブ病棟(24床)がつねに満床状態で、近隣の介護施設から介護度の高い患者さんの入院も多い。職員は発熱だけでなく、少しでも異常があれば検査を行い、早期発見に努めている。崎山昌代・看護部長は「救急患者さんが多く、退院しても、すぐに次の入院があり、一般病棟はオーバーベッドすることもあります」と訴える。

岸和田徳洲会病院(大阪府)は重症患者さんの受け入れ体制を整備。深野明美・看護部長は「コロナに起因する肺炎で亡くなるケースは少なく、陽性患者さんの持病の悪化によることが多いです」と吐露する。第8波では院内クラスターが発生したが、救急搬送受け入れは制限せずに対応。「行動制限のない状態で成人式がありましたので、連休明け2週間は気が抜けません」と警鐘を鳴らす。

名古屋徳洲会総合病院は5床のコロナ病床を用意しているが、多い時で20人以上を受け入れた。救急車は市外からの受け入れが頻発、コロナ陰性なら受け入れるという近隣の病院もあり、同院では初期対応に追われている。「昨年11月中旬から陽性者が増え始め、重症化する患者さんは少ないですが、いまだピークが見えない状況です」(乕田美幸・看護部長)。

仙台徳洲会病院はコロナ病床を24床設けているが、連日満床が続き、別の病棟をゾーニングしてコロナ患者さんを受け入れている。発熱外来も毎朝、長蛇の列で、昨年12月頃から毎日100人ほどに対応する日が続く。佐野憲院長は「職員は、これまでの積み重ねもあり、増え続けるコロナ患者さん、救急患者さんにも手際よく対応していますが、終わりが見えない状況に疲弊しています」とねぎらう。

庄内余目病院(山形県)は陽性患者受け入れ病院ではないが、第8波では経路不明の陽性者が増加し、12月中旬からクラスター化が加速。コロナ病棟(14床)を開設しているなかで、陽性者のADL(日常生活動作)低下が顕著だ。齊藤由理・看護師長(感染管理認定看護師)は「陽性者対応のリハビリ担当者を配置し、状態が落ち着いている方にはリハビリを行います」と、感染拡大予防と療養環境の向上の達成に尽力している。

第8波が最初に到来した北海道では、感染のピークは抜けている。札幌東徳洲会病院のコロナ病床8床、疑似症用8床は満床状態から脱したが、一般病棟などは満床に近い状態だ。竹島裕美・看護部長は「夜間の救急搬送困難事例が頻発しています。脳梗塞や雪による転倒など、冬場特有の救急搬送の増加も考えると、病床に余裕があるとは言えません」と窮状を訴えている。

→徳洲新聞1373号掲載