横浜日野病院
認知症治療病棟と精神科急性期治療病棟を新設
日野病院(神奈川県)は2月1日、現在地に新築オープンする。病院名も「横浜日野病院」に変更。同院は2002年に徳洲会グループ入りし、同時に新築移転先を探したが、難航。このため現病院に隣接する駐車場に新築した。建て替えに合わせ個室を44室設置。認知症治療病棟と精神科急性期治療病棟(11月から稼働)も新設した。患者さんの症状に合わせ、地域に密着した精神科医療を実践していく。
プライバシーへの配慮や症状に応じた環境を整備

新病院は「自分が入院したくなる病院」を掲げ、とくに精神科病棟は長期入院する患者さんもいることから、療養だけでなく生活の場としての機能も重視した造り。たとえば現病院の大部屋は6~8人部屋だったのを、プライバシーなどを配慮し、すべて4人部屋にした。
加えて、テラスコーナーやデイルーム、洗濯室など病室以外でも過ごせる空間を複数確保し、メリハリのある生活ができる。浴室は個浴を増やし、落ち着いて入浴ができる環境を整えた。さらに開口部を設けて光を多く取り入れ、一日の時間の流れを意識できる空間を実現した。
個室も44室と、これまでの多床室のみから新設した。精神疾患を有する患者数は年々増加傾向にあり、今後さらに精神科ニーズは高まると見られている。精神疾患の症状は複合的であり、患者さん一人ひとりに合わせた最善の医療を実践するうえで、加療環境の選択肢を増やした。
4階に設置した作業療法室は、吹き抜けのある大きな空間で、室内にいながら開放感にあふれる。壁面向きの作業机の配置や、室内に段差を設けるといった趣向を凝らし、他者と目線を交わすことが苦手な患者さんでも作業に集中しやすくなっている。一人ひとりの目標に合致したリハビリテーションを行い、社会復帰をサポートする。
ナースステーションは病棟を見渡せるように配置し、エレベーターホールの動きも見えるレイアウトを実現。死角になっている箇所には見守りカメラを設置しており、安心・安全な療養環境を構築している。
現病院は取り壊し、駐車場を新たに整備する予定。内科などの新設も地域から求められており、今後、新たに診療科を設ける場合、このスペースを活用することが可能だ。
専門性を生かした看護に力

精神科看護は、外傷や痛みのように表に出てこない、患者さんの内面をみる寄り添う看護が求められます。治療以前に、食事や睡眠、衣服を着替えるといった生活習慣のちょっとした変化を察し、対応することがとても重要となります。
新病院ではナースステーションが病棟の真ん中に設置され、より患者さんのことを見守りやすくなり、スムーズな看護が可能になります。作業療法室やデイケアなどのスペースもこれまでより広く明るくなりましたので、さらに質の高いリハビリを行い、患者さんの社会復帰などにつなげていきます。
認知症治療病棟も新設します。認知症の早期発見・早期治療に資する環境が整いましたので、精神科看護の特性を生かした看護を実践してまいります。また、湘南鎌倉医療大学の看護学生の実習を受け入れ、専門性の高い看護師の育成にも力を入れていきます。
→徳洲新聞1372号掲載