北谷病院
北谷病院(沖縄県)は7月に訪問診療を開始した。中部徳洲会病院(同)の仲間直崇・消化器内科部長が北谷病院の非常勤医師として同院で訪問診療を行い、中部徳洲会病院の内科・消化器内科医師が往診体制をサポートする。また、仲間部長は地域包括ケアシステムの構築に向けても積極的に動き出した。
中部徳洲会病院の消化器内科は年間1万5000件を超す内視鏡検査・治療を行うと同時に、与論徳洲会病院(鹿児島県)や沖永良部徳洲会病院(同)、石垣島徳洲会病院(沖縄県)を中心に、離島病院での定期内視鏡検査や緊急内視鏡治療も積極的に実施。これに加え、仲間部長は7年前から中部徳洲会病院で訪問診療も行ってきた。
同科の常勤医師が増え、診療体制が充実してきたこともあり、仲間部長は7月から北谷病院の非常勤医師を兼任し、同院での訪問診療をスタート。同院の喜納幸美・看護師長と稲嶺香・看護副主任が訪問診療に同行する。
仲間部長は「沖縄県や離島の高齢者が増え続ける一方、病床が足りない状況が続いています。訪問診療ならば『人が過ごしたい場所で過ごしたいように過ごすお手伝い』ができると同時に、『病床を院外に増やす』効果を生むことができると考えます。その意味では私にとって、離島で高度内視鏡治療を行うことと、地域で訪問診療を行うことは同じベクトルの上にあります」と説明する。
北谷病院の訪問診療の登録患者さんは24人、さらに仲間部長は70床の特別養護老人ホーム(特養)の嘱託医を担っているため、「これで約100床の病床が確保できたことと同じ意味をもちます」と強調する。以前、同特養で新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生した時にも、患者さんを病院に搬送することなく、訪問診療を行うことで終息させた。
「もちろん医師ひとりで完結できるわけではありません」と仲間部長。喜納・看護師長と稲嶺・看護副主任の働きに感謝し、「前もって患者さんのニーズを把握しておいてもらえるので、訪問診療1件の時間は短くても、患者さんには満足度の高い医療を提供できていると考えます」と語気を強める。喜納・看護師長と稲嶺・看護副主任は「患者さんの希望する場所で療養させたいという仲間先生の考えに共感しました」と口をそろえる。
訪問診療は同院の看護師に加え、訪問看護ステーションや介護施設の専門スタッフなど地域全体で、ひとりの患者さんを診る。仲間部長は「訪問診療を始めて、各専門職種の役割の重要性をあらためて実感しました。それぞれがプロフェッショナリズムを発揮し、頼もしく思います」。
ゆくゆくは在宅療養にかかわる多様な施設を集め、定期的にミーティングを行い、地域包括ケアシステムを構築していきたい考え。仲間部長は「各施設では相談できる場がなくて、本来の役割以上の業務をしている場合があります。そこで医師がポンプ役になり、患者さんを療養に適した病院・施設に移すことで、各施設が本来の役割に専念できる環境を整備すれば、より良い地域医療が実現できると思います」と展望している。



