徳洲会グループ

徳洲会関西・大阪ブロック看護部は、吹田徳洲会病院(大阪府)で2日間、エンドオブライフ(終末期)ケアと緩和ケアの研修会「ELNEC(エルネック)―Jコアカリキュラム」を開催した。これは、全看護師が知っておくべき終末期・緩和ケアの基礎知識や倫理的配慮を学ぶ講習会。本格的な「多死社会」を迎えるなか、患者さんの尊厳ある最期や悲嘆する家族を支える看護師の育成が必須であることから企画した。

終末期ケアや緩和ケアは、がん医療、とりわけ末期の患者さんが対象と考えられがちだが、「実際には苦痛を取り除く緩和ケアは全領域で必要ですし、どのような疾患であっても最終的には終末期ケアが不可欠」と、研修会を企画・運営した名古屋徳洲会総合病院の大橋純子・緩和ケア病棟看護師長(がん看護専門看護師)は全看護職員の履修の必要性を訴えた。

今回の研修はELNECの基礎コース。終末期ケアの必要性、痛みや症状のマネジメント、個々の患者さんの背景や文化への配慮、悲嘆する患者さんや家族とのコミュニケーションの図り方、高齢者の終末期医療の考え方、喪失感や悲嘆に対するケア、臨死期のケア、終末期医療の倫理―などを11時間以上かけて学んだ。

座学だけでなく、がん告知の場面を想定したロールプレイや、生きる気力を喪失した若年がん患者さんに対するケア事例の検討、がん患者さんを襲う多くの苦痛(身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛)に、どう対応するかのグループディスカッションなど協議時間が多いのが特徴。

受講生は、死に対面する患者さんへの接し方を考えるとともに、日頃の悩みも共有。扱うテーマの重さに張りつめた空気になりがちだったが、家族との心温まるエピソードなどに笑みがこぼれるシーンも見られた。

最後に、研修を研修で終わらせないため、今後の活動計画を発表。「当院でも終末期ケア、緩和ケアを普及していきたい」と、自施設での同研修会開催を希望する声が多く上がった。また「患者さんの本当の思いを知る」、「患者さんの尊厳を守る」、「倫理的な配慮を怠らない」、「患者さんの背景まで含めた全体像を把握する」は終末期ケアだけでなく看護の基本であり、「終末期ケアは特別なケアではないのかもしれません」との意見もあった。

「看護そのものを学び直す機会になりました」と受講生は笑顔で感想。大橋師長は「終末期ケア・緩和ケアは、これからの看護師に必須のスキルですが、指導者の人材不足が深刻。今後、各院、各セクションでこのコースを開催し、ひとりでも多くの看護師に知ってもらいたい」と開催に意欲を燃やしていた。

徳洲新聞No.1018掲載記事(PDFが開きます)