徳洲会グループ

工夫凝らし潜在患者さん抽出

徳洲会グループは2019年に「C型肝炎ウイルス(HCV)サーベイランス(調査)プロジェクト」を立ち上げ、潜在的なC型肝炎患者さんのフォローに取り組んでいる。C型肝炎は慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんなど、さまざまな疾患のリスクになることが指摘されているが、自覚症状がないため、感染しても気付きにくい。プロジェクト発足から2年が経過するなか、今年3月に開いた「肝炎コーディネーター研修会」では、各地のグループ病院が活動内容や成果を報告した。同研修会で発表した病院を中心にグループの取り組みを紹介する。

小児や早期肝がん発見も

湘南藤沢病院が開始した4カ月後にグループ病院で同プロジェクトを実施。2回にわたる「肝炎コーディネーター研修会」などを通じ、グループ病院は湘南藤沢病院の取り組みを参考にしながら活動している。

福岡徳洲会病院は医師、臨床検査技師、システムエンジニア(SE)、看護師、医師事務作業補助職員、医事課職員をコアメンバーとするHCVサーベイランスチームを設置するとともに、肝炎コーディネーターを配置。検査室がHCV抗体陽性者をリスト化し、医師がリストから患者さんをピックアップ、肝炎コーディネーターが文書の郵送や検査の日程調整などフォローする。

「福岡県は肝炎対策に以前から力を入れており、当院は二次医療圏に1カ所設けられている肝疾患専門医療機関です。県が行う肝炎コーディネーターの養成研修もすでに13人受講していたため、スムーズに進めることができました」と中島彩看護師。HCV-RNA検査まで行った約1割が治療を必要としたという。「なかには子どもの感染症例や、早期の肝臓がんの発見につながったケースもあり、とても患者さんに感謝されました」(中島看護師)。院内の健診センターとも連携し、外国人の感染者、B型肝炎の症例も見つけたこともあるという。

羽生総合病院(埼玉県)は20年3月から月1回の活動を開始。マニュアルと業務フローを作成し、多職種が協力して行っている。年間で5~10人程度の治療につなげている。「対面による患者さんへの対応を加えて、受診につなげたいと思います」と川田亮・副薬局長は意気込む。

日高徳洲会病院(北海道)はマンパワーが限られていることもあり、医師、臨床検査技師、医事課職員が協力し対応。医師は患者さんにHCV-RNA検査の必要性や結果を説明するが、関連の専門医が不在のため、必要に応じ専門病院に紹介している。内海秀崇・臨床検査技師は「データやマニュアルの作成、外来診察室にHCVに関する資料の設置なども行っています。ひとりでも多くの患者さんを助けたい」と積極的だ。

野崎徳洲会病院(大阪府)は20年に、医師、臨床検査技師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、事務職員を中心とするチームを結成。これまで45例に介入し、25例が治療につながった。谷澤由香・看護師長は「職員の理解を深め、チーム活動をさらに円滑にするとともに、かかわる件数の増加、治療開始までの期間短縮を目指したいです」と意欲的。

プロジェクトの現状について岩渕センター長は、「コロナ禍のなかで、各施設が工夫を施しながら地道に活動していると思います」と評価。「サーベイ開始から3年間、毎年、陽性者が検出され、一定数が治療を受けています。すぐには減らず、サーベイを持続する意義はあるでしょう。TISのおかげでシステムも大変進化しているため、多角的に検証していきたい」とアピールしている。

→徳洲新聞1345号掲載